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掲載日:2016/11/10
■ 健康的な歩き方

 以前の「パラレル歩行のススメ」という記事で、脚の美観や正しい筋肉を身に付ける為にもレッスン以外の時間ではターンアウトなしの通常のパラレル歩行をしましょう!とお勧めしました。この記事は主に両脚を閉じる時に使う“内転筋”についての内容でしたが、今回は足首より下の「足」特に「足裏」について注目してお話をさせて頂こうと思います。

 通常の人間の歩行では(個人差はあるものの)、爪先をわずかに10〜15度程度外に開き、爪先と膝は同じ方向を向き、爪先と膝を進行方法へ向けて2本線上を歩く、という動作が理想とされています。この歩き方は“美しく見せる”為の歩き方ではなく、体への負担を少なくし効率的に歩行することを目的とした歩き方です。

<重心を移動させるライン>
 左の図は足裏の図ですが、赤い線は人が歩いた時の重心の移動を表しています。正しく踵から爪先に向けて歩いた場合、重心の中心は踵のわずかに外側から始まり、土踏まずのふちを通り、親指へ抜けて行きます。しかし中々このように正確に歩く事は出来ませんし、実はこの線を意識して歩くとつい外側に重心が行きがちな歩行になってしまうことが多いのです。

そこでおススメしたいのが、右図の青い線意識した歩き方。踵の少し外側から始まった意識は足裏の中心を通って親指の側面(=親指の脇)へ抜けて行きます。この意識で歩く事によって理想的な重心の移動で歩く事が出来ます。(理学療法士より)

また、人は立つ時に足裏の3点(赤い丸)に重心を乗せて立つ事も重要です。この部分も意識して歩くとよりしっかりと地面を踏んで歩く事が出来ますよ。
特にバレエを学ばれる方はつい踵に重心を乗せずに歩くクセが付いています。通常歩行ではしっかり踵から地面を踏んで歩きましょう。

更に!この青い線の終点である、“親指の側面”(親指の第2指側の脇)の上にを乗せるように歩いてみて下さい。これで足首より上の脚の力も一番効果的な方向で発揮されます!

「爪先と膝の向きは同じ!」、これどこかで聞いたフレーズですよね?そうです、この感覚はターンアウトをした時の足の使い方にそのまま応用が出来るのです。バレエでは脚を外へ回して(外旋して)使いますので、膝の向きは、わずかですが“親指の側面の上”と言うよりは“第2指の上”という感じ。しかし床を押すのはやはり“親指の側面”が一番強い感じですね。膝は大きく捻っては絶対にダメ!ですよ。

<親指の脇を押して立つ>
 私は過去に「ルルベは足の親指と人差し指(第2指)の間を押して立つ」と指導されたことがありましたが、今の私としてはもう少し細かく「親指の脇を押して立つ」と言いたいような気持ちです。とはいえ他の指もしっかりと押して使って下さいね。
以前は「ルルベは主に親指と人差し指、そしてその付け根で立つ」と言われていましたが、現在はルルベはなるべく多くの指とその付け根を使って立つということが推奨されています。(ルルベでは小指が床に付かない方もいらっしゃいますが、きちんと小指に意識が行っていれば全く問題はありません。)

左の青い線で私が親指の脇にこだわるのは、バレエなどの運動で発達した足の裏は親指の付け根部分(緑の丸)が厚くなり足が小指側へ傾きがちになってしまう為、指の間に重心を置くと親指を使う力が減少してしまう気がしているからです。指の間を押すよりも親指の脇を押した方が、より親指の力を有効に活用出来るように私感じています。まあ殆ど同じような感覚ではあるのですけれど、私的には異なるのですよ(^^;)。しかし足の形は人によって本当に千差万別です。このラインはあくまでも理想と考えて下さいね。

 小指などの親指以外の指を発達させる為、足のエクササイズ等では「5本の指をしっかり使え」とか「5本均等に力を入れろ」などと言いますが、実際に人が動く時には、やはり一番大きい親指が一番大きな力を発揮します。故にしっかりと親指を使わなくてはなりません。しかし親指にばかり頼っているとそのうちに見事な外反母趾に・・・!!外反母趾や足底腱膜炎を防止する為にも、青い線のラインをしっかり意識してパラレルで歩きましょう。
(残念ながら私も既に立派な外反母趾。しかしこの動き方をしてからは強く痛くなった事はありません。この歩き方は外反母趾の進行の予防にも適しているそうです。)

<親指の付け根をほぐす>
 『親指、機能不全ですね〜。』と理学療法士の先生に言われたのは、私が“足底腱膜炎”(足底筋膜炎ともいいます)を患った時です。“足底腱膜炎”とは足裏の縦アーチを作る組織(下図の青い部分)が何らかの原因で硬くなって、踵や足裏の他の場所に痛みが発生してしまう病気です。私は数か月で治りましたが数年苦しむ人もいて、踊る人間には恐怖の病気です。足底筋はポアントで立った時の要となる筋肉ですから、ここを痛めてしまうとポアントで立つ事が出来なくなります。

「親指が機能不全〜〜〜??だって、曲がるし動いてるじゃん。」と私は最初に思いました。しかし先生から『よく見てみて、他の指の方がすんなり曲がるでしょう?だから指先で立った時にすぐに曲がり易い方に傾くんだよ。歩く時も同じ。脚のバランス変わって来てないですか?』と言われ、「そういえば最近ポアントで立った時に片側だけ足の裏に力が入り難い。(歳のせいだと思ってた。)それにリハビリのトレーナーの先生からは「脚の外側に頼り過ぎ」と言われてる。」と思い当たることが沢山ありました。

「筋肉を十分に発揮させるにはよくほぐさなくてはダメ!」これはスポーツをする上での絶対条件です。でもこれを身に染みて実感するのは、中年以上になって故障だらけの身体になってから。「筋肉をほぐす」ことについてはいつかたーっぷりと記事にしたいのですが、今は“親指の付け根をほぐす”方法についてだけ、書きます。ぜひ実際にやってみて下さいね!
(※この記事のマッサージはメディカル・スポーツ・センターの整形外科及びリハビリ・プログラムで私が受けた手法をそのままご紹介しています。)

<足裏の構造>
 まずは足裏の構造を見てみましょう。
左図の青い部分足底腱膜部分、そしてその足底腱膜を取り払うと右図のように指を動かしたりする実に複雑な筋肉群が出てきます。
足底腱膜は土踏まずの縦アーチを形造る組織で、ここはマッサージというよりストレッチの方が効果があります。ストレッチは正座状態で足指を立てる(指立ちする)だけ。左図の青い部分を伸ばすように負荷を掛ければOKです。どうしてもマッサージしたい時は手の親指の腹でゆっくり踵〜爪先にかけて軽く押し伸ばして下さい。但し故障をしている時は安静にして強く伸ばしたりしてはいけません。

<親指の付け根をほぐす>
 始めにほぐしたいのはココ!
足の土踏まずの際(きわ)を横から軽く押してみると太い腱(赤い線)があるのが判ります。その腱の両側に少し凹んだライン(青い点線)があるので、そのラインに沿って、手の親指の先を深めに入れて下さい。太い腱を外側から押すようにすると、コリ固まっている人は結構痛いはずです。そこをゆっくりと小さく振動させるように押してほぐして行きましょう。

 右足の時は右手で、まず足の親指の付け根の周り(右図の赤丸青丸)に親指を差し込んで外側に開くように回します(左図の青い矢印)。そして左手で足の親指を引っ張るように反らして行きます(左図の赤い矢印)。少しづつ右手の親指の先を深く押し込んで行って下さい。押し込んだ親指はいくつか足の腱に触れるのですが、その腱自体は押さないように、腱と腱を離して行くように手の親指を押して行きます。かなり痛い場合は絶対に無理をしないように!「イタ気持ち良い」くらいが大切です。凝っている方は特に青丸の部分はかなり痛いと思いますので、ゆっくりと少しづつほぐしましょう!

 最後は足裏の足底腱膜の脇を押して行きます(左図の黄緑の点)。慣れてくると押していてどこなのかが判るのですが、判らない方は大体の雰囲気でイタ気持ちいい所を探って行きましょう。

そして甲の部分も軽く押しておきます。各指の中足骨の間、特に親指の骨の脇(右の赤い点)は押しながら親指を動かしたりして、しっかりほぐして下さい。


以上が“親指の付け根のほぐし方”になります。如何でしたか?痛かったですか?凝っている方はかなり痛いので長くやりがちですが、強すぎない、長すぎない、ことがとても大切!大体10〜15分程度で、それ以上長くは行わないように。1日1〜2回も行えば十分です。

 たかがコリ、されどそのコリを放置すると、歩くバランス、踊るバランスが崩れて、私のような故障につながります。コリや疲れは早期発見、早期対処が一番!ご多忙なのは解りますが、毎日各部分を変えながら少しづつでも身体の色々な部分ををほぐしてあげて下さい。特にレッスン後のほぐしはとってもとっても!効果がありますよ(^^)v。


<ツボ押しアイテム>
 最後にアイテムを1点、ご紹介します。毎日親指を使って身体ほぐし作業を行なっていると親指が相当疲れて来ます。また親指では深く入らない所もあって、何か親指の代わりになるアイテムが欲しい所。そこでおススメするのが下のツボ押し棒!なかなかの快感です(^m^)v。
左の品は先が少し細すぎる気もしますので、あまり深く入れすぎないように気を付けて下さいね。良かったら使ってみて下さい。

 

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