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■ 発表会について   −その1−

 発表会の経験のない方向けに発表会についての私の知識を記述しました。よろしかったらご参考にして下さい。但し、この情報は私の知識に過ぎませんので、一部の情報だと思って下さいね。ところ変わればやり方も変わりますので。

   <発表会ってどんなもの?>   <発表会までの段取り>    

   <費用はどれくらい?>   <どうしてそんなに費用がかかるの?>    

   <練習について>   <欠席について>    <自習について>

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 バレエを始めたならやはり「舞台で踊る」という機会は経験したいものではないでしょうか。中にはカルチャースクールやジムでのレッスン・オンリーの方も少なくはないと思いますが、もともとバレエとは人前で踊る芸術ですので、実力UPの為にも1度はチャレンジして頂きたいと思います。

<発表会ってどんなもの?>
 さて、素人の発表会とは言っても現在はスクールの在り様も多様化しておりますので、先生の方針によって本当に多種多様。ですので、スクールへの入会前に出来るだけそのスクールの発表会は観て確認して頂きたいと思います。大人は発表会は自由参加が殆どですが、児童は特別の理由がない場合は全員参加となっているスクールが多いですので、児童の場合は地域のお母様方の情報を集めてからの入会をお勧めします。入会前に先生へ発表会の費用を伺っても今時はタブーではありませんのでどんどん聞いて下さい。

 発表会とは、各個人やグループ毎に先生から踊りを割り振られ、大体6か月程度練習し、ほど良い広さの会場を借り、衣装・メイクをしてお客様に披露する、という形式です。 会場を借りたり、舞台スタッフを雇ったり、ゲストを呼んだり、と大変費用がかさむので、「バレエを習うのはお金が掛る」と言われる要因ですね。

 最近は毎年開催されるスクールも増えているようですが、多くは2年に1回の開催で、発表会のない年は代わりに教室内や小さい会場を借りて開催されるミニ・コンサートを行うスクールも多いです。発表会の練習は決められた踊りを反復して練習しますので、その踊りに出て来るパは上達しますし、”表現する”という勉強もしますので実力UPにもつながるのですが、反面他のパの練習時間が少なくなりますので基礎の土台作りには邪魔なものでもあります。しかし、特に児童のモチベーションは大きく変わりますので、定期的に舞台で踊る機会を作るのもスクールの努めの一つでもあります。

<発表会までの段取り>
 発表会までの段取りは大体、下記のようなスケジュールです。

 出演者の募集(演目の発表が先の場合もあります) → 演目と配役の発表
 → 各踊りの振り渡し → パート毎の練習 → 総合練習(通し稽古)
 → 衣装合わせや照明・音合わせ → 舞台稽古
 → ゲネプロ(本番当日あるいは前日) → 本番

「ゲネプロ」というのは、ドイツ語の“ゲネラル・プローベ”の略で日本では「ゲネプロ」や「ゲネ」「ゲネリハ」と呼ばれ、舞台上で行うほぼ本番通りの「通し稽古」のことを指します。本番と同じ会場で行わねばなりませんので、殆どは本番の前日あるいは本番当日の本番前に行われます。
また、バレエの世界での「リハーサル」と言うのは発表会やコンサートの「練習」を指しますので、「ゲネプロ」と混同しないようにして下さい。

<費用はどれくらい?>
 この費用については各スクール毎に本当に違います!!ですので、発表会の費用は必ず聞いてからのご参加、ご入会をなさって下さい。
なぜ違いが出て来るかと言うと、出演者の人数や、どの程度の規模で発表会を行うかによって費用が大きく異なるからです。また先生のレベルや方針によってもリハーサル指導料が大きく異なります。あくまで私の経験と情報からですが、参加費だけ(衣装代別)で普通のスクールで1回6〜10万円、老舗や大きなプロ養成所では10〜30万円程度という感覚でしょうか。踊る曲数が増えたり、ソロを踊りますとその分加算されたりしますし、10周年等の記念公演になると全幕を上演したり、オーケストラ付きになることもあるので費用がハネ上がることも多いです。また、ゲストを招いて2人でグラン・パ・ド・ドゥ等を踊る場合は、そのゲストの出演料を含めた全ての費用(例えば交通費など)を一緒に踊る生徒が負担する場合が多く(一部負担の所もあり)、その場合はゲストのグレードにも寄りますがゲストの費用だけで数十万円の出費になります(^^;)A。(…バレエのプロになるって大変でしょう?)
逆に児童の場合は姉妹や兄弟での出演になると割引かれる場合もあります。若いご両親には負担が大きいですからね。
ちなみに衣装代は(グレードにも寄りますが)大体1着1〜2万円程度です。

 中には発表会のチケットを有料にされるスクールもあります。記念公演などでグレードの高いゲストを沢山お呼びした時などにも有料になる場合があります。大抵は出演者一名ごとあるいは一家ごとに数枚は無料で配布されることも多いです。気になるようならチケットが有料かどうかも聞いておくと良いでしょう。

 規模の大きい公演が良いか小さい公演が良いかは人それぞれです。小さい規模ならば参加費も安価で済みますし、人数が少なければ目立つパートで踊れたりもします。逆に大きい公演ですと高価にはなりますが、広く豪華なセットで凝った演出、人数が多ければ幕物の上演もオリジナルに近い形で上演出来たりします。プロを目指す児童には大きい公演を経験させたいところでもありますし、全幕上演はとても感動するものでもあります。バレエはやはり広い舞台で踊りたい、しかし広い舞台ではセットや照明などをきちんと入れないととても淋しい印象になってしまう、そして多くのお客様に見て頂く為にも広いホールが必要になったりします。(最近は消防署の指導で発表会での立ち見は禁止させる自治体が多いのです。) 中々難しいものですよね。地域によってはスクールを選びにくい環境の場合もありますが、ある程度ご自分で納得できる費用のスクールを選択して下さい。

 参加費のお支払方法はスクールによって異なりますが、多くは参加費は本番までに一括あるいは分割で収めます。但し、終了後に追加請求がある所もあるそうですので、その点についても事前に聞いてみて下さい。私は経験していませんが、スクールによっては時々納得いかない請求もあるそうです。(例えば「小物はレンタルのはずなのに、購入代金の金額が請求された」等。)小さい金額ならば我慢してしまう方もいらっしゃるでしょうが、あまり重なるようならば不信感がつのりますので先生に聞いてみるのも手の一つだとは思います。ちゃんと理由がある場合もありますから。もしそれで態度が変わるような先生であれば、そういう感覚の人物だと評価して、今後の出演や通学を考える目安の一つとすれば良いでしょう。まだまだ感覚が“お嬢様”の先生も多いようですが、バレエ・スクールは営利団体のひとつですので本来はお会計は明確でなければならないのです。…まあ、現実は複雑ですけれど。

<どうしてそんなに費用が掛るの?>
 生徒さん側から「なぜそんなに費用が掛るのか?」という疑問を多く聞きます。最近は費用の収支を明らかにされる若い先生もいらっしゃいますが、スクールは公共機関ではありませんのでそのような公表はありません。皆さんが疑問に思われるのはもっともだと思います。
 しかし本当にバレエの発表会の開催ってお金が掛るのです。まず、会場は踊る為の大きなホールが必要となります。なるべく安価な公共のホールを借りますが、夏の土日は競争が激しくて料金が上がる所も。安くてもホールだけで1回数十万円からの出費で、午前と午後や時間別料金になっている会場が多いです。楽屋を借りるのは別費用、舞台装置も別費用でマイク1本から料金が掛る所もあります。バレエの発表会は最低でも1日全日借りて、照明や音響の舞台装置も借りなければなりません。小さいミニ・コンサートなら照明なしの場合もありますが、たとえ1幕でも幕物を上演するならば照明は不可欠、他に大道具などが必要な場合も多いですが、それらは全てどこかからの借り物。更に床にはリノリウムも敷かなくてはなりません。

 一番大きいのが人件費。ゲストの費用だけではありません。舞台を上演する為の舞台スタッフはやはりバレエの公演に精通している会社へ依頼します。他のスタッフの方々や、楽屋・受付スタッフへの御礼なども必要ですし、またスタッフへのお弁当やお菓子なども用意します。ですので昔から児童のお母様方へ協力をお願いしたりするスクールが多いですが、これもまた強固な「母の会」を作りトラブルの元になることも多く、最近ではお手伝いは「母の会」にではなく出演されない生徒さんや先生の人脈でお手伝いをお願いすることも多いです。
 他にも「収支明細」へは書けませんが、ゲストを手配してくれたバレエ団へや、他のお世話になった方々へもお礼をしたりすることもあります。
 
 リハーサルの指導をしてくれた先生方にも、通常のクラス・レッスンより手の掛る指導をオフ日返上でお願いするのですから、別途のボーナスや指導料をお支払しなくてはなりません。
通し稽古を行う為にホールや広いスタジオを複数回借りることも多いです。

 いやはや、これですべての費用ではありませんが、大変な出費です。
昔は確かに実際の費用よりはるかに多めに請求される先生もいらしたそうですが、それもその後のスクールの運営費に充てられることが多いのだそうです。現代は競争が増えましたので、そんなに大きな費用を請求することは出来ません。そのスクールや舞台の規模に合った費用の請求という形が殆どです。
残念ながら、やはり今のところ「バレエの発表会は開催にとてもお金が掛る」とご理解頂きたいと思います。

<練習について>
 さて、「踊りを踊る」という行為はとても楽しいことですが、“群舞を踊る”という事はとてもストレスもある事ですし、ソロを踊るため先生との1対1でのリハーサルというのも大変苦しいものでもあります。しかし「お客様に観て頂く」という行為は「お客様に足を運んで頂いて貴重な時間を割いて頂く」という事実でもありますので、一生懸命練習してベストを尽くさなくてはなりません。「素人だからいい加減で良い」と考える方には初めから舞台で踊る資格はないものだと思って下さい。

 通常、まずは先生から踊りの振りを渡されます。最近はベースとなる振付けのビデオを渡され、大体の振付を覚えてから振り渡しが始まるスクールもあるそうです。しかしプロ用の振付けではそのまま踊れないことが殆どですので、先生のニュアンスで振付けの変更が入ります。(驚くことに最近は先生の振付けに対して「ビデオと違う」とおっしゃる方がいらっしゃるそうですが、悪気はないのでしょうがそのような事は絶対に言ってはいけません。先生は色々なバランスをみて振りを決めています。素人は先生の振付けには必ず従って下さい。どうしても希望がある場合は、個人的に先生と相談しましょう。)

 大人には幾分優しい応対になるとは思いますが、本来は振り渡しはパート毎に1回か2回きりです。(コンテンポラリーでは複数回やります。)それで覚えなければなりませんので、皆さん必死で覚えて下さいね。細かい部分は後からでも確認できますので、まずはパの動きを一塊りにして覚えて行きましょう。群舞の場合は後で皆で確認が出来ますが、ソロの場合は自分独りが頼りです。「振りを入れる(身体で覚える)のも技術の内」とよく言われます。慣れれば覚えられるようになりますので、覚えられない内は何度も動き、不明点はその時に先生にどんどん聞いてしまいましょう。(児童の上級生には普段のレッスンから長い振りを1度で覚えさせたりします。コンクールなどでレッスンでの先生の振りが覚えられないと審査以前の問題になってしまいますので。) 更年期や年配の方はどうしても記憶力が落ちますので、あまり落ち込まずにお仲間や先生へ聞いて下さいね。

 振りを頭で覚えたら次は“踊り込み”です。理想は「考えてなくても勝手に身体が動く」ようになるまで。飽きるほど繰り返さなくてはなりませんので、結構辛い練習にもなります。また同時に出来ないパを出来るようになるまで練習します。最後まで出来ない時は、先生によっては振りを変えることもありますし、そのまま舞台に上げる先生もいます。発表会は「努力の結果」を見せる場であるという考えからのようです。素人ですからね、失敗を気にするよりも後悔のない踊りが出来るように頑張りましょう。プロだって完璧に踊れることは殆どないそうですからね。
とはいえ本番に実力以上の力を発揮できる方は少なくて、実際の本番では実力の6割7割出せれば良い方です。本番では、レッスン後に身体がほど良くアップされた状態で踊るリハーサルのようには行かず、身体がアップ出来ていない(引き上がっていない)状態が殆ど。なるべく自分の状態を良く持って行く為に、踊る直前に疲れない程度に踊って動いていることを私はお勧めします。幾度も経験して自分の調整方法を見つけて下さい。

 群舞では苦しい「同調(シンクロ)」の練習も行います。とにかく先生からは「揃っていない!」のお叱り続きです。
群舞では呼吸を合わせる事が第一の使命になります。隣や先頭、末尾の人と呼吸を合わせ、肌で感じて“同調”するのです。(群舞を踊るにはコツがいるのですが、それは別の機会に書きますね。)とにかく群舞は“思いやり”と“自分を捨てる”ことに徹すること。そして全体がみごとに揃ってくると何とも言えない達成感と快感があります。団結感を育む事に成功すると群舞を踊るのもとても楽しいですよ。同じ踊りのお仲間とは邪魔にならない場所でならどんどんお喋りをして仲良くなってしまうことも成功への秘訣です。(気に入らないヤツでも共闘すると踊りは案外ピッタリと合ったりして…(^m^;))

 私達の若い頃は群舞とは軍隊のような感覚でした。しかし最近では揃えることよりご自分が「目立つ」ことを優先される方がいらっしゃるそうです。確かに素人は参加費を出して舞台に立っていますので目立たないと損をしている気分になるのかも知れませんが、このような方は大きな誤解をされています。後でビデオでご覧になれば一目瞭然なのですが、一人ではみ出したり場所を取っているのは「悪目立ち」をしているだけで決して上手には見えません。本当に上手な人は群舞でピッタリ合わせていても、やはり美しく目立つのです。私が過去に一緒に踊った上手だった女の子はやはり後に主役になりました。踊りを観た友人には「ゴメン!Ruccaよりあの子に目がいっちゃった。」と言われた事を覚えています。 目立つことより美しく踊ることを目指しましょう!

<欠席について>
 リハーサルでの欠席はもちろん原則として“厳禁”です。どうしても必要な場合は必ず先生へ事前に断らなくてはなりません。それでも欠席が多ければ、次の舞台ではより格下の立ち位置へ下されますし、昔は先生からは「貴女がそこに居ないのなら他の人を立てますよ」ときつく言われました。何故かはお解りになりますよね?群舞の場合は他の方への迷惑になりますし、ソリストの場合は群舞を踊る方々への失礼になるからです。ソリストとして踊る方には「誰しもがソロやソリストで踊りたいのだ」という事実を自覚して頂きたいと思います。プロならば「実力順」の一言ですが、素人では中々割り切れるものでもありません。群舞の場合は立ち位置などの変更が入ることも多いですし、不愉快な目に合わない為にもリハーサルはできるだけ欠席しないことをお勧めします。

とはいえ、大人には自分の自由になる時間が少ないのが現実。特に育児や介護をされている方々は大変ですよね。先生側も発表会にはなるべく多くの生徒さんに参加して頂きたいものです。ですので出席回数に不安のある方はまずは先生にご相談をなさってみて下さい。最近はお互い様ということで欠席に理解を示して下さる生徒さんも多いですし、先生によっては事情のある方を集めて1曲創作して踊らせて下さる先生もいらっしゃいます。最初の顔合わせの時に「申し訳ございませんが、もしかすると欠席が少し多めになるかも知れません。」等と皆さんにお願いをしておくのもご理解を頂く方法のひとつだと思います。但し!途中で出演をキャンセルするのはとても大きなご迷惑になりますので極力避けて下さいね。始めてしまったら覚悟して最後まで付き合うことです。

<自習について>
 先生から振付を頂きリハーサル内で練習をしても、踊りこなしたり綺麗に揃えたりと出来るようになるまではとても時間が足りないのが現実です。そこでスクールでや、あるいは個人的に「自習の時間」を設ける場合があります。リハーサルの後や別の日に、スタジオの空き時間を利用して使用許可を頂き、自分達で自習をするのです。(必ずある訳ではありません。)
自習は自分たちのペースで落ち着いて練習できるので実力UPにもつながるのですが、いかにせん、大人でも子供でもそれぞれの都合というものがあります。費用も自習代が無料の場合もあれば、冷房代等をお支払する場合や、自分達で貸しスタジオを借りて行う場合もあります。ソロの場合は個人の問題ですが、群舞の場合は集団になりますので無理強いは禁物です。自習とは基本的には「参加したい人だけで行う」べきものなのです。参加しない人を責めたり、仲間外れにしても良い結果は絶対に生まれません。発表会への参加というのは、リハーサルとして決められた日には出来るだけ参加することが義務となりますが、自習は任意であるべきですから参加できなくても堂々としていましょう。実力差があるのは当たり前、自分の不注意は別ですが技術の面では「自分がみんなの足を引っ張っている」とは決して思わないことです。責任はすべて配役した先生にあるのです。(それに素人の実力の差なんて、経験年数が大きく開かない限り舞台ではそんなに差は判らないものです。)
もちろん可能であれば自習に参加することはとても良いことですよ!

 (余談ですが、私は自習が大好き!です。若い頃は発表会とは関係なしででも友人と自習をしたものでした。「自習」と言っても、本当は自習をしていた訳ではなく、友人と踊りたい踊りをただ踊っていただけ。今思うとちょっとキケンだったかも知れない振りもチャレンジしたりして、自由に踊れることが何より楽しかったです(^^)v 発表会の自習も、発表会の自習オンリーでは飽きてしまうので、途中は全然別の主役の踊りを練習してしまったり。スタジオの2階には先生がいらして、全部聞こえていたそうですが黙って好きにさせて下さっていました。一度だけ、突然下に下りていらして「あ〜我慢できないっ!貴女達!ステップの音取りが違うのよっ!」と言ってお手本を見せて下さいました。なんでも足音まで聞こえていたそうなのです(^^;) 大人になってからはさすがに恥ずかしので、勝手をしたい時は数人で貸しスタジオを借りてやるようになりましたが、自習はホントに楽しい思い出です。自習は気楽にやるのが一番!)


−その2− へ続きます。