ご無沙汰しております!記事が遅くなってしまって誠に申し訳ございません。
巷では猛威をふるう新型ウィルスの為にレッスンが休講となっている方も多いと思われます。スタジオや先生によって環境や事情は異なりますので休講のスタジオ、開講のスタジオと色々ありますね。このような緊急時には自分で
正しい情報を集め、自分で判断することが、後の結果を受け止めやすくなるのではないかと私は思っています。
レッスンがお休みの今こそ!エクササイズや基礎を充実させるチャンス! です。レッスンに費やしていた時間をご自宅で同じようにバレエの為に費やしましょう!たとえフルサイズでのレッスンが出来なくても、どこかにつかまってプリエやタンジュを行うことは出来ますし、フル・ジャンプが出来なくてもシャンジュマンの真似事(プリエを深くして!)やルルベでのアッサンブレ等、ご自宅で出来る事は沢山ありますよ。再開後のパフォーマンスの差は今、大きくつくのです!
皆様、さっさと重い腰を上げましょうo(^^)o
今回は
“頭の位置”について、もう一度再確認して頂きたくて記事にしました。自分の感覚を改めて感じてみて頂けたらと思います。
頭部は身体の部位の中でも重い方の部位になるそうで、平均的には体重50kgの方の場合は5kg程度もあるそうです。結構思いですね!5kgのお米の袋の重さを思い出してみて下さい。この重さの球体が細い首の上に乗って動いているのですから、人間のバランス感覚はすごいと思います。だからこそバレエにおいての頭の位置って大変重要なのだという事はお解かりになりますよね?

左の図を見て下さい。バレエにおいて理想とされている頭の位置の図となります。
床から
“爪先→足首→膝→骨盤の中心→肋骨の中心→首→頭頂”までが垂直線上に並んでいます。これがバランスを取る時の理想。実際には人間の個体差やクセ、筋肉の違い等があり、中々このようにはなりません。しかしこのラインを目標に私達は
正しいバレエ・スタンス(バレエでの立ち方)を習得して行かなくてはならないのです。
<首は垂直ではない>
皆さんの頭はちゃんと首の真上に乗っていますか?前に出し過ぎたり、後ろに引き過ぎたりはしていませんか?

首はね、正確には垂直でなくてもいいんです。と言うより、
正確な姿勢だと首は垂直にはならないの。
左の骨格図を見ると判る通り、首の骨って少し前傾しているのです。これを無理に直そうとして、アゴを引き過ぎたりすると
「ストレートネック」という湾曲が足らない首の骨を作り出すそうです。バレリーナの背骨は一般人よりはS字を真っ直ぐに伸ばす必要がありますが、直線にし過ぎても人体の構造的に良くないんです。
何事もね「過ぎたるは及ばざるが如し」なんですよ!(昔はねー「伸ばせ!伸ばせ!」って習ったの。でも現在ではそれはダメ。)
頭部が左右に傾いたりするとバランスに影響することは解ります。(でも傾けて表現をするのがバレエなのですが、それは訓練の先にあるテクニックのお話。)
では前後に傾くと何が起こるかと言うと、
頭が前に出ると背中が丸くなり易くなり、頭が後ろに下がると胸が前に出たりみぞおちが開いたりしてしまうのです。
<頭が前に出ると猫背になる>

左図のピンクの部分が
“僧帽筋”。この僧帽筋、とても大きな筋肉で色々なことをしてくれる役に立つ筋肉なのですが、残念ながらバレエでは
背中を丸くする大きな原因の一つにもなるんです。
私も含めて、現代人ってパソコンやスマホを見る為に頭を前に傾けるでしょ? それでこの筋肉が大きく発達してしまうんです!それで“鶴”ではなくて“亀”のように首の短い姿勢が作られてしまうんですよ。
短いだけではなく、この筋肉を使って引き上がろうとか、バランスを取ろうとしてしまうので、この筋肉が強いといつまで経っても背骨周りの深筋(バレエでは芯筋)が強くならないんです。大問題ですよ! 経験ありませんか?
自分が踊っているビデオを観たら、頭が前に出てしまいおばあさんのように見えた!ってショック(T_T)。
これはね、多くは頭が前に出てしまっている時に起きる現象なんです。ポーズを取ったりプレパレーションをする時にはきれいな首や背中でも、着地や走る時、方向転換する時など、いわゆる
“素に戻り易い時”に現れる現象なんです。
そんな心当たりのある方は
自分の頭を後ろへ少し引いてみて下さい。「頭を引け」というと、アゴを引いてしまう方がいらっしゃるのですが、
アゴを引くのではなく頭の後ろのお団子を少し後ろへ引っ張られる感じ(昔よく先生にされたの)。そんな感じに水平にわずかに引くだけで姿勢全体が変わることがあります。
上がっていた僧帽筋が下りると、背骨が真っ直ぐ垂直になり易く、背中の表面が下りて背骨が天に上がり易くなる感覚になります。試しに、頭を前に出して僧帽筋を上げてみて、次に頭を引いて僧帽筋を上げてみて下さい。
頭を引いた時の方が僧帽筋って上がり難いでしょう?
僧帽筋だけを下そうとするよりも頭の位置を変えてしまった方が僧帽筋は簡単に下りるんです。
<頭を後ろに引き過ぎると鳩胸になる>
次は頭をぐぐぐと後ろへ大きく引いてみて下さい。バランスを取る為に胸部が前に出ますよね?
胸部が大きく前に出るということは、みぞおちが開き易い(横隔膜が開き易い)という結果をもたらします。猫背が治る代わりに鳩胸になり易くなるんです。

この
みぞおちを開かなくする為には、“胃をしまう”、“背中の肩甲骨より下のラインを垂直に伸ばす(背中から閉じる)”というやり方がありますが、
“頭を真ん中に戻して両肩を真横に引っ張り合う”という感覚もとても役に立ちます。頭を引いていなければみぞおちは開き難いですし、みぞおちを大きく開くには両肩を大きく後ろ側へ引かなくてはなりません。(美しい姿勢を作る為には両肩は少し後ろへ回す必要があるのですが、)まずは
両肩を真横に引っ張り合う事で胸部や左右のバランスが安定するという感覚を身に付けて下さい。この感覚は回転をする時に大きく役立ちます!
<まとめ>
さて、頭の位置と猫背や鳩胸の関係がお解かり頂けましたか?
あとは実践あるのみです!
僧帽筋が上がり難い位置、横隔膜が開かない位置、両肩を横に引っ張り易い位置、等を目安に
頭の位置の再確認を行ってみて下さい。意外と位置が間違っていたりしますよ。
ここで認識して頂いた頭の位置は、
基本のバレエ・スタンスでの位置です。動き始めれば頭の位置は変動しますが、
バレエでは基本のスタンスに戻る瞬間がとても多く発生しますし、瞬時に基本の位置に戻せることがとても大切です。
頭はとても重くて重要なパーツですから、上手に扱って良い位置に収めて下さい。
最後に、一日も早くこの大変な環境が落ち着く事を心から祈っております。
レッスンお休み中の方々、負けずに身体を鍛えて整えて、レッスン再開を待ちましょう。
o(^^)o