脚を高く上げる −前・後−
(2021.01.12 修正)
バレエの基本動作では脚を上げる(外転させる)方向は、前・後・横の3方向です。これらをつなげたロン・ド・ジャンブという動きもありますが、ここでは前後横に脚を上げることのみ考えて行きましょう。
まず人の姿を見れば明らかな事ですが、人の体は前・後・横と異なる形をしています。その為、各方向で脚の上げ方に多少の違いがあります。共通する部分も多いですが、それぞれに異なる特性がありますので方向毎に別々に解説しようと思います。尚、共通する部分は前ページ「−準備−」で既に述べた内容ですので、まずその準備を整えてから脚を上げる努力をしましょう。
他の項でも繰り返し述べている通り、
バレエのすべては“ムーブメント”(=動き)です。脚を上げてポーズをしている時も身体は常に動き続けて(=伸び続けて)います。身体をカチコチに固めたり、力いっぱい突っ張ったりしないで、しっかり背骨や腸腰筋に力を入れ、全身をくまなく細く伸ばし続けて、柔らかく美しい姿を形造って下さい。
★ 前へ脚を上げる[アラベスク・ドゥ・バン] ★ ―――――
脚を上げる時の基本ポジションは主に1番と5番ポジションがありますが、そのどちらも脚が上がりきった時は
爪先(あるいは足首)が身体の正面ほぼ真ん中(おへその前)になるような形になり、同じです。時々「1番の位置で脚を上げて(上げた足の爪先が軸脚の踵の前)」と指示される事があるかも知れませんが、それは“ポアントを履いて踊る”クラシック・バレエにおいてはイレギュラーの形と思って下さい。ポアントで立って前後に片脚を上げる場合、上げた足の爪先や足首は、身体の真ん前(おへその前)あるいは軸足の爪先の位置(シューズのプラットフォーム)の真ん前に置くことで、一番バランスが取り易い位置となります。(但し、反張膝などで膝が反り返る脚の方は微調整が必要です。)
ここでは上げた脚の爪先や踵が身体の正面真ん中に位置する形を作ることを考えます。また、基本ポジション1番から脚を上げる場合では軸の移動が発生しますので、今は5番ポジションから前へ脚を上げると限定して考えます。(脚を上げる位置については、次ページ「脚を高く上げる−横−」の後半の記述≪脚を上げる方向≫もご一読下さい。)
<起動時のターンアウト>
まず5番ポジションから脚をタンジュに出す前に、絶対に譲ってはいけないことは
骨盤の垂直と
両脚のターンアウトです!この、脚の起動時の骨盤やターンアウトがうっかり緩む方がとても多くいらっしゃいます。「自分は大丈夫」と安心しないで足を動かす瞬間に常に意識を向けましょう。脚の起動時の骨盤はあくまでも(意識上の)垂直です。そしてこの瞬間のターンアウトが
少しでも緩むと、使う脚の筋肉が大きく異なり前腿の大腿四頭筋が太くなる結果を招いてしまいます。
脚を上げてからターンアウトをしても遅いのです。
起動時のターンアウトのコツは、(骨盤は上下に引き合う力で正しく固定されているとして)左図の青い矢印のように恥骨から腰骨(骨盤前面の両側にある出っ張った骨)まで1本の糸が張られているとイメージし、その糸をなるべく動かさないように腰骨をやや手前に引きながら脚を動かし始めることです。この意識はよく「腰骨を引いて」や「付け根でカットして!」などという言葉で表されたりします。とても重要な意識ですので忘れずに実践してみて下さい。但し、脚が上がるに従ってこのラインはわずかに移動することとなりますので固定して強く押さえ付けてはダメですよ!
<起動時の足裏の活用>
脚を上げる時に最初に使われる筋肉は前腿の大腿四頭筋の中にある「大腿直筋」という筋肉です。脚は正しく使われれば大腿直筋によって先導され、脚が高くなるにつれて腸腰筋へとその負担がバトンタッチして行きます。正しい上げ方をしていれば
脚の高さが90度以上になれば(脚を廻して先へ伸ばす力以外は)ほぼ腸腰筋の力で脚を上げていることになります。しかし私達はなるべく前腿を太くしない為にその大腿直筋に負担を掛けないやり方で脚を上げなければなりません。この時大きく役立つのが
足裏で床を押す感覚です!足裏と指の腹で軽く床を押し、床を舐めるようにして脚を上げる事によって、脚の動きに反動がつき内腿のハムストリングが反応して大腿直筋の負担を軽減させることが出来きます。
試しに5番ポジションで動脚の足裏を床から浮かせた状態から脚を上げた時と、足裏で床を軽く押しながら床を舐めるようにして脚を上げた時の、前腿の負担の違いを感じてみて下さい。何度も繰り返して動かすとかなり負担が違うはずです。この足の裏の使い方で脚を動かす負担や速さまでもが変わって来るのです。例えば「アッサンブレで動脚をギリギリまでシャッセして使いなさい」という先生の指示は、この力を利用する為なのです。
このように脚の起動時の動きにはとても重要な要素が沢山集まっています。
脚は動かし始める時と下ろす時にこそ神経を使って動かす事がとても大切なのです。
<骨盤の傾き>
脚の高さが高くなるに従って重さの負担は増すばかり、この負担を軽減する為にまずは下腹を引き上げ、そして動脚は骨を遠くへ引っ張りながら(骨に近い深筋を遠くへ伸ばす意識で)、上げた脚の下側となる側面で脚全体を支えるようなイメージで脚を上げ続けて行きます。気をつけなくてはいけないのはターンアウトを出来る限り譲らない為に先程の「腰骨を引いて」「付け根をカットして」の注意を意識することです。
脚が上がるにつれて左右の腰骨の高さが大きく変わったり、正面に対して骨盤が大きく捻じれてしまってはいけません。但し、脚が90度より高くなるにつれて、骨盤は少し回旋させなくては脚は上がりませんので、上げた脚側の腰骨が軸脚側の腰骨より少し前に出てもかまいません。しかし上げた足のお尻が上がってしまわないように気をつけて下さい。上げた脚側の腰骨の位置はわずかに前に出ますが、逆に腰骨を手前に引き続ける感覚も持続させなくてはなりません。(腰骨を開く感覚?…座骨を集めている感覚です。)
しかし脚を前へ上げる場合、体の構造的には骨盤を正確に“立てた”位置で脚を上げられる高さは約60度程度が限界で、それ以上の高さまで脚を上げるには実際には骨盤を下図のように
やや後ろに向けて傾斜させなければなりません。(しかし脚の高さが90度程度までは、外から見た感じでは骨盤の傾斜が解らない程度の傾斜で収めて下さい。)
左図の
ピンクの部分は骨盤だと考えて下さい。実際の骨盤はお椀のような形状をしていますが、今は板のような平面で考えます。
脚を90度以上に上げるには骨盤を左図の様に後ろにわずかに倒さなければなりません。しかし骨盤を倒すとそのままでは腰部分の腰椎が後ろに丸く曲がり腰の重心は後ろに落ちてしまいます。それを防止する為に腰が後ろへ落ちないように腰を上へ突き上げます。(この時だけは
ほんの少しだけなら出尻の感覚になってもかまいません、但しおへそは前へ出さないように!)それと同時に胸椎を上へ突き上げて胸から上を少しだけ後ろへ倒す様にします。(横隔膜が開いてしまわないように両脇を上へ引き上げて胸から上だけを後ろへ倒す感覚でもかまいません。)
この胸部の傾きは表現によって角度は様々ですが、基本としてはなるべく少ない傾きで脚を上げるように訓練しましょう。
重心は決して踵には乗せずにあくまでも土踏まずの上に乗るように前寄りに取ります。繰り返しますが左右の腰骨の高さは大きく変えてはいけません。
また骨盤の傾斜はあくまでも脚の高さが上がるに従ってわずかに傾斜させるのであって、
先に骨盤を傾斜させてから脚を上げてはいけません。また、軸脚の付け根を上へ突き上げることも忘れないで下さいね。
(下記の
<まとめ>もお読み下さい。)
<骨盤の重なり>
さて上記では骨盤を1枚の板のように考え、わずかに傾斜させることを述べました。次は更に
骨盤が左右に2つに割れていると考えて下さい。もちろん実際の骨盤は板でもありませんし2枚に分かれているのでもありません。イメージとして2つの板だと考えるだけです。
骨盤を真上から見ると、通常の1番や5番ポジションでの骨盤の位置は、下図@のようにほぼ横に並んでいます。前へ片脚を動かす際、タンジュやデガジェくらいまではこのままの状態で脚を動かせます。しかし約90度近い角度になるにつれて(あるいは90度を超えると)、骨盤がこの位置の場合、左右のバランスがとり難くなってきます。ア・テールならば骨盤を軸脚側に移動させることによって支えることは出来ますが、脚に強い負荷が掛ります。更にポアントで立った場合、この骨盤の位置では爪先の細い部分に重心を全て集める事はできません。
<脚を前へ高く上げた時の、骨盤の2枚の板を真上から見た図>

図@ 通常の骨盤
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図A 前に重ねた骨盤
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脚を高く安定して上げる為には、左右の骨盤が図Aのようにわずかに重ねた状態になるようにイメージして身体を動かします。骨盤の傾斜と同じく、
先行するのはあくまでも脚が先で骨盤を先に重ねてはいけません。このように上げる側の骨盤をほんのわずか前へ重ねることで脚への負担は大分減少しますし、重心が自分の正面中心に集まり易くなってきます。5番ポジションからターンアウトして正しく自分の正面中心に向かって脚を90度より高く上げて行くと、図@の骨盤では次第に脚は上がり難くなって行くはずなのです。高さに従って骨盤を図Aのようにわずかに重ねることで脚は“詰まり”から解放され高い位置に上がり易くなります。
但し、90度以下の低い角度の時は図@の状態を保たなくてはいけません。
時々左右の腰骨の位置を気にするあまり、図@の骨盤を守ろうとし過ぎてしまう方がいますが、腰骨は
左右の高さをほぼ水平にすることと、
大きくは捻じらないことを厳守すれば、動脚側の腰骨が少し前へ出ても構いませんし、少しは出さなくては脚は高くは上がりません。
ここで気をつけて頂きたいのは、下図のように動脚側の骨盤を大きく捻じってしまうことです。この状態ではターンアウトは不可能ですし、両腰骨の高さも変わってしまったりします。この間違いを阻止する為には、爪先の位置は守りながら、上げた脚側の腰骨を手前に引き続けることです。許されるのはわずかな重なりだけ。グラン・バットマン等で脚に引きずられこの形にならないように注意しましょう。

間違った骨盤
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間違った骨盤
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<まとめ> (追記 2014.06.19)
下記の図は、かなり脚が高く上がる日本人のプロの方の身体のラインです。斜め前から撮った写真を図にしていますので正確ではありませんが、イメージを読み取って下さい。脚の高さや上半身の傾斜、個人の骨格によって“芯”(軸)の位置は多少変わりますが、意識して頂きたい点を記述します。
土踏まず(あるいは踵の前側)の上に付け根ポイント(座骨)がきちんと乗っている点に注目して下さい。(黄緑の点線)
骨盤はわずかに後ろへ傾斜しています。
つられて腰が後ろに落ちないように、腰を長く伸ばす様に引き上げます。(赤の矢印)
胸から上を、脚の高さに応じて傾斜させます。(青の矢印) 基本では不必要にまで大きく傾斜させてはいけません。
体幹を安定させる為、体幹を長く使う為に、脇の下のラインを上へ引き上げます。(オレンジの矢印)
土踏まず(あるいは踵の前側)の上に付け根ポイント(座骨)がきちんと乗っている点に注目して下さい。(黄緑の点線)
基本の形では両脇は水平にします。(ピンクの点線)
動脚は脚の下側ライン(ターンアウトしているので下側になる側面)で支える。(水色の直線)
以上、脚を正しく前へ高く上げるポイントが、
<起動時のターンアウトと足裏の利用>、<骨盤のわずかな傾き>、<骨盤のわずかな重ね>であることはご理解頂けたでしょうか?
次は後ろへ脚を上げるアラベスクについて考えて行きましょう。
★ 後ろへ脚を上げる[アラベスク・デリエール] ★ ――――
前・横・後の3方向の中で正しく脚を上げることが一番難しいのは後ろのデリエールだと思います。3方向の中で骨盤を傾斜させずに脚が上げようとすると、
前・横・後で約60度・45度・15度までしか上がらず、後ろが一番上がりません。それほど“上がらない後ろ脚”を上げる為には全身を大きく利用しなければならないのです。
後ろにおいても脚を上げるポイントは
<起動時のターンアウトと足裏の利用>、<骨盤の傾き>、<骨盤の重ね>と前とほぼ同じです。しかし大きく異なるのは、
前へ上げる時よりも背骨を大きく使わねばならないということです。
<起動時のアーンアウトと足裏の利用>
脚の起動時のターンアウトが重要であることは前のドゥバンの時と同じです。足裏全体を使い床を舐めながら小指側側面で床の面を薄く削るように後ろタンジュを作るのですが、ここでもう一度再認識して頂きたいことは
“脚のターンアウトは付け根で脚を廻す(外旋させる)”ということです。
即ち、人形の脚の様に、骨盤は動かさず脚だけ廻してターンアウトさせるというイメージです。脚を後ろへ上げよう(出そうと)とすると、ターンアウトをしようとして上げる脚側の骨盤を大きく開いてしまう過ちを犯す方が初心者の方には多いです。まずは両側の腰骨は水平できちんと前を向かせて正確に後ろタンジュをすることを大事にして下さい。すべてはそこからです。座骨をしっかりと寄せてターンアウトに努めて下さい。
<骨盤の傾き>
下の図B〜Dは後ろへ脚を上げた時の骨盤の傾斜の様子です。ピンクの部分が骨盤になります。
前へタンジュをする場合は骨盤は垂直な“立てた”状態で出来ました。しかし後ろのタンジュの場合は、既にわずかに骨盤を前へ倒さなければ脚を長く伸ばして後ろにタンジュをすることは出来ません。また、足(爪先や土踏まず)と骨盤の位置関係ですが、脚が後ろに上がるのと同時に、
骨盤をほんのわずかに前方へ水平移動(スライド)させます。(骨盤を水平に前へ逃がしてやる感覚。)このスライドは骨盤の傾斜より先に行うと脚を軽く上げるコツとなります。
骨盤の傾きは図Cの高さ90度の状態で既に大きく傾き、図Dのパンシェの状態では水平かそれ以上の傾きになります。すなわち
骨盤を倒さなければ脚は上がらないということです。しかし骨盤はギリギリまで起こして使いたい、ですので骨盤は脚が上がるのに従って、脚に先導されて前へ倒します。
脚が上がるより先に骨盤を倒してはいけません。
ここで骨盤が傾くときに発生する問題は
「お腹が下に落ちてしまう」という問題です。前へ脚を上げる時は腰が後ろへ落ちました。今度はお腹の部分が床に向かって落ちてしまうのです。お腹が落ちると重心も落ちて次の動きに移れません。これに対抗する為には上体はなるべく倒さないようにしてアラベスクをしたい。しかし骨盤を倒さないと脚は高くは上がりません。骨盤を倒せば上体も前へ倒れてしまいます。
ではどうするのか?
胸から上を起こし、腸腰筋でお腹が落ちないように下から支えます。男性に支えられていたり、表現で必要な時には頭部を下に下げることもありますが、基本的にはバレエでは胸部より上の部分は上に起こした状態で後ろ脚を上げるのです。
まずは軸脚の付け根ポイント(座骨)をしっかり押し上げ、それと同時に腸腰筋を上へ引き上げます(上図の
赤い矢印)。次に後ろ脚の骨を遠くへ伸ばし
(水色の矢印)、背骨を伸ばして
(青い矢印)バランスを取ります。ここで背骨を伸ばす重要なポイントは必ず
僧帽筋や肩甲骨を下ろして、その下ろす力で腸腰筋を起点として背骨を頭部に向かって伸ばす、という点です。児童や初心者ではアラベスクやパンシェの際、僧帽筋や肩甲骨が上がっていることで肩が上がってしまい、首が短くなってしまっている方がとても多いです!
僧帽筋が下りなければ背骨を正しく伸ばすことは絶対に出来ません。しつこく繰り返しますが、僧帽筋や肩甲骨を下ろすことで背骨を伸ばす感覚を確実に身につけて下さい。
ここでもうひとつ問題が発生します。上体を起こす為には背骨をカーブ(湾曲)させなければならない訳ですが、腰椎(腰)の柔らかい方は腰で折って脚を上げがちです。これは児童に多く見られる間違いです。この間違いを続けると背骨の軟骨が擦り減ってバレエを続けられなくなります。
左図の青い点線は背骨の腰椎のカーブ、赤い点線は胸椎のカーブの位置を表しています。背中のカーブはこの部分を意識して、大きな円を描くように背骨を伸ばしながら造ります。腰椎を曲げる時はおへそが前へ出過ぎないようにおへそを直線的に縦長に伸ばします。胸椎を曲げる時は横隔膜が開かないように肩甲骨から下のラインを長く伸ばしたり脇の下を長く伸ばしたり意識します。これで美しい曲線が造れるはずです。
※ ストレッチの際、胸部からのカンブレ(反り)のストレッチも大切だという理由がここにあります。ロシアのダンサーはこの胸椎がとても柔らかく、ロシア人ならではの大変美しいアラベスクや白鳥の姿を実現させています。
<骨盤の重ね>
さて、最後にもう一つのコツはやはり“骨盤の重ね方”です。骨盤をイメージ上の2枚の板に見立てて、その2枚を重ねる意識は前へ脚を上げる時と同じです。
<脚を後ろに高く上げた時の、骨盤の2枚の板を真上から見た図>
後ろの時の重ね方は、前の時よりもお尻にお肉がついている分、2枚を少し離して重ねます。そしてなるべく両方の腰骨は前へ向けたいのですが、脚を高く上げる為にはどうしても骨盤を回旋させなくてはならない為、上げた脚の方の腰骨を少し外へ開かなくてはなりません。しかし可能な限り少なく開きます。
上の右図のように大きく開いてはいけません。開くというより骨盤の2枚の板を重ねたまま少し離すような意識です。ここで頑張るのは軸脚側の骨盤です。
軸脚側の板は絶対に譲らずに前へ向けて下さい。軸脚側の腰骨を少し手前に引く意識が助けになります。
後ろ脚のターンアウトは、座骨を重ねて(寄せて)、脚を骨盤から切り離すように脚の付け根から廻します。
骨盤はなるべく腰骨を前へ向けたまま脚の高さに従って前へ倒して行きます。上げた脚を下から支えるのは脚の下側の側面です。
また後ろ脚が上がるに従って、上げた脚側のウエストも後ろに引っ張られて行きます。そのウエストに負けないように、
肋骨は正面を向けるように努力をします。上げた脚側の脇や肩甲骨を前に押し出す意識で、軸脚側の肩甲骨はわずかに後ろへ引く意識で、両脇は出来るだけ正面に向けるようにしましょう。第1アラベスクの基本では上げた脚側の肩はあまり後ろへ引きません。わずかに引いたとしても脇は必ず前へ押し、肩はその脇の上になだらかに掛けているようなイメージです。
本当に後ろ足を美しく高く上げることは至難の業ですね。素人が完璧な形を造ることは難しいですが、少しでも美しいラインを造れるように努力しましょう。バレエは体操ではありませんので、上げた脚の高さより体全体の美しいラインの方がずっと大切です。誤った形で次の動きにギクシャクと移る人より、脚は低くても正しい形から滑らかに次の動きへ移れる人の方がより美しく見えることは、皆さんもご存じですよね。
次は脚を横へ高く上げることを考えてみましょう!