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掲載日:2020/08/11
■ ティーチャー・ウォッチング

 さて今日の記事は、これまた私めの一方的な独断と偏見と更に高慢さ?にもまみれた、私の思考です。お心のひろ〜い方以外では不愉快な思いもされるかもしれませんので、よくご注意の上お読み下さい。m(_ _)m

今回のおしゃべりのテーマは・・・・「先生ウォッチング!!」。
様々なバレエ教師の先生方を拝見しての私の感想です。読んでつまらなかったらゴメンなさい。

 人生の殆どの期間でバレエのレッスンに参加して来ましたので、それこそお会いした先生はかなりな人数でいらっしゃいます。私にとってバレエの先生とのご縁というのは多分に「相性」「都合」が大きな因子となっていて、繰り返し受講するか、数回で終わるか、たまの受講を継続するかは、その2つの因子で殆ど決まります。児童の場合はバレエ教師は本当に慎重に選ぶべきだと思っていますが、大人素人の場合は気楽に「自分が楽しめるか」「自分が上達できるか」「無理をさせないか」で決めてしまって良いだろうと思っています。

現在は大手のスタジオなどは人数を制限した予約制が殆どで、人気講師の予約を取るにはとても大変だったりしますが、 人気講師ってどんな先生が多いのでしょう?私が思うには総じて下記の特徴があるように思います。

(1)個人個人をよく指導してくれる
 ダントツに人気のある先生って、平等にまんべんなく多くの生徒に注意を与える先生のような気がします。 先生が自分に注目してくれてアドバイスを受けることが出来るのは、上達できる気分にもなれるし、テンションが上がる要素ですよね。 もちろん人数次第ではあるのですが。

私がお世話になっていたA師匠も人気講師の一人なのですが、A師匠が心掛けているのは「出来るだけ1レッスンで最低1回は1人1人、全員に個人注意をする」という事だそうです。やはりレッスンで1度も注目されないよりは、たった1回でも注意されたら嬉しいものですよね。「A師匠なら自分を上達させてくれる」そんな気分にさせてくれる先生です。(…A師匠の場合、時々「今、絶対私を見ていなかったよね?」って時でも「Rucca! 左腋落ちてる!」と声が飛んで来たりします。その通りだったりするので悔しいのですが(^^;)。)

(2)アンシェヌマンがいい!
 逆に殆ど全体注意しか与えない先生もいらっしゃいますね。B先生はバーでもセンターでも全員に対する注意しかされず、個人注意はごくわずか。B先生は長年バレエ団で講師をされていたので、そんな習慣があるのかも知れません。もちろんバレエ団の先生でも細やかに個人注意をされる先生も沢山いらっしゃいますけど、プロになると朝のクラスは基本的にはウォーミングアップとなりますから個人注意は少ないのかも知れません。しかしB先生の魅力はそこではなくて、振付けるアンシェヌマンがとても良いのです。バーではしっかり身体全体を動かすようにしてくれて、センターでは大きく、緩急、強弱をつけて動く練習を毎回しっかりさせてくれます。充実した内容のクラスはとてもお得感がありますね。

(3)沢山踊らせてくれる
 大御所のC師匠はバーの段階から上半身も表現をつけて動くように指導されます。そしてセンターではまるで舞台で踊っているように表現いっぱいの気持ちの良い振付け。普段のレッスンから感情表現をして動くようにと言われます。児童のレッスンではあまり早い内から上半身の振りを多くつけて練習させない方が良いのですが、大人素人の場合は別。C師匠は「テクニックは若い先生に教わって下さい。僕からは表現する楽しみや踊る歓びを感じて行って。」とおっしゃいます。C師匠は私のD師匠のそのまた師匠なのですが、D師匠の話ではC師匠は「いいじゃない、人生を経たからこそ出来る大人の表現があるんだから。それを表に出してこそ舞踊だよ。」とおっしゃったそうです。う〜ん、深いなぁp(- -;)q

アンシェヌマンが素敵な先生のレッスンは楽しいですよね。趣味のバレエなのですから、毎レッスン心から楽しまないと!

(4)とにかく美しい(ToT)!!
 もう、見ているだけで満足してしまいそうな先生に時々遭遇します。レッスンでプリンシパルの踊りを無料見しているみたい。彼女達のクラスはいつも人気で毎度予約の争奪戦です。

が、必ずしも素晴らしい踊り手が素晴らしい教師であるとは限らないこともあります。

たとえばE先生は本当に美しいスタイルで、レッスンのお手本でも本気で素晴らしいパフォーマンスを見せて下さる元プリンシパルです。指導もとても熱心なのですが、実はE先生は柔軟性についてかなり危険な要求をされます。脚も「もっと上げて!上がるでしょ〜〜!!」ってな具合に生徒の脚を強く引っ張ったりしてしまいます。素人の硬さをイマイチ解っていらっしゃらないみたい。ロシアの生徒達の様にレントゲン検査とかがあって、身体的に問題がないことが判っている人には多少の無理は出来るかも知れませんが、日本の生徒にそれは危険な行為です。素人にも熱意のある良い先生なのですけれどね。

また、こちらも素晴らしく美しいF先生は海外でも踊られた元プリマなのですが、(F先生に習っている友人の話では、)かなり生徒のえり好みが激しく、大手のスタジオでは平等に生徒を見ますが、ご自分のお教室ではお気に入りの生徒以外にはあまり熱心に注意をしない等の傾向があったりするそうなのです。人柄はともかく、教師としては如何なものかと…。おそらくご自身は常に先生のお気に入りの生徒だったのでしょう。そういう指導をされて育って、そのやり方をそのままご自分の指導にも取り入れているのかも知れません、古い時代の匂いがしますけど。でも本当に美しいので生徒は次から次へとやって来る人気講師です。


他にも“アンシェヌマンの説明を丁寧に何度もしてくれる先生”とか、“明るくいつも笑わせてくれる先生”とか、生徒に好まれる先生の要素は色々ありますね。

それと!“難しい、ややこしい、アンシェヌマンの先生”という特性もホントに人気が高いです。どのようなレッスンが好きかは生徒の自由ですが、いざ自分がそういう先生のクラスを受講してみると、順番を覚えたり、テクニックやらに神経が行ってしまって、きちんと体を使って動けないことがよくあります。これは自分でも「合わなかったなぁ」とも思うのですが…、あのね、自分にとって“難しい”、“複雑”なアンシェヌマンが上達に導いてくれるかというと、そんな事はありませんし、それが「レベルが高いクラス」という事にも実はなりません。

確かにプロ志望のジュニアの場合、オーディションや公演の振り渡しで振付けをどんどん覚えて行かないとならないので、どのような振付けでも身体が反応するようにする訓練は必要ではあるのですが、私達大人素人の場合は、その振付けを何度も練習するならば別ですが、たった1回のレッスンでしか登場しないのに、やたら複雑な順番であったり、難易度の高い技の連続が繰り返されたりとかは、私達にはあまり意味はありません。だって、例えば踊りの練習ならば何回も繰り返し練習して覚えますし、基本的には大人素人にオーディションやコンクールはないでしょう?(最近は大人素人対象のコンクールもあるようですが)。

そして現実にね、そんなレッスンの内容をちゃんとこなせている人って大抵そのクラスで1人か2人居るか居ないか程度なの。他は「その前にやる訓練があるだろう!」と言いたくなる人が殆ど。チャレンジも結構ですが、そのチャレンジで故障したり悪い癖が付いたりするのに、そういう事には全く無頓着な人が多い。

「自己満足の実現」がバレエを習う目的ならそれでも結構ですが、「美しく踊れるようになりたい」が目標であるならば、自分に合ったクラスを選ぶべきです。長く続けていれば突然“美しく”“正しく”出来るようになる?そんなことはありません!バレエの上達は積み重ねの結果だし、バレエの上達に奇跡はありません。(バレエを舐めたらいかんぜよ!)

素人のクラスでは確かに難易度の高い技を練習させてくれる先生は少ないです。「イタリアン・フェッテもグラン・フェッテも練習してみたい」、「アラスゴンド・ターンもアラベスク・ターンも出来るようになりたい!」、もちろん大いに結構なのですよ。でもバレエの技術は積み木なのですから、その前に土台の積み木を作れるようになるべきです。

上達させてくれる先生ってね、1つのアンシェヌマンにいきなり沢山の難しい技術を詰め込みません。1つづ増やして行くとか、1つづつ練習して最後に合わせるとか、同じパをレッスンを分けて何回も練習させます。だからオープンクラスでそんな複雑なレッスンをする先生は「既に殆どの技術をマスターしている生徒」を対象としているんです。
例えばバレエ学校でもね、ビデオで観ると最終学年のアンシェヌマンなんてとっても難しいですが、それまでに何年もかけてそれが出来るように1つづつ練習しているの。素人が数年バレエを練習したくらいでは出来ないんですよ。ロシアや欧米のバレエ学校で学んだ人から話を聞いても、「日本の先生ってレッスンを難しくし過ぎるよね。あれでは身体の訓練にならない。」という話をよく聞きます。

難易度の高いクラスを受けるのなら、そのクラスが自分にとって有益なのかどうかしっかり考えて、それでも必要であると思うのならば、怪我をしないようにエクササイズ等でしっかりと体を鍛えて臨んで下さい。


 さて、皆さんの周りにも上記に書いたような似た先生はいらっしゃいます? 先生も人間ですからね、100人居れば100通りの特性があります。人気がなくても自分に合う先生は結構いらっしゃるし、これぞ!と思った先生に毎日のように教えて頂いて自分が上達できたかバレエを楽しめたかを振り返って自分の選択を判断するのも良いかも知れません。

最後に、私の印象に残った男性の先生についてお喋りさせて下さいね。

“ティーチャー・チャラ男”
 やたら明るい先生で、実は私は心の中で「ティーチャー・チャラ男」と呼んでいます(^^;)。おそらくクラスを盛り上げようとしてくれているのでしょうが、やたら大きい声で笑う、おしゃべりばかりする、あまり知的ではない?“ノリ”でアンシェヌマンを作る(なのでいつもワンパターン)、アドバイスも「限界まで伸ばして!」とか「パーッと廻ってパーッと!」としかアドバイスを言わない。でも技術はあるので大手バレエ団のソリストだったりして、踊ると素敵。彼はいつも生徒の前で大技を披露してくれるので、オバ様方が拍手して盛り上がります。でも私め的にはドン引き。限られた時間しかないので、繰り返し先生のパフォーマンスを見せられるよりは自分が動きたいと思ってしまいます。明るいので憎めない先生なのですが、私はなるべくこの手の先生は避けるようにしています。でも彼も人気講師の一人です。オバサマ・キラーなんだよね。

“ティーチャー・オネエ”
 ものすごく素敵な王子様を踊るのに、その性格は実はものすごく女性的だったりする男性ダンサーって実はかなり多いです。オネエでなくても言葉使いが女性的になることも多いですよね。なのでレッスン中に「やだ〜やめて〜!あなた達、何やってるのよぉ〜」とか「ちゃんと素敵に踊ってね〜」とか、オネエ言葉が飛び交ったりします。でもこういう先生って繊細な人柄な方が多くて、相談に乗ってくれたり、体調を気にしてくれたりと、優しい面も多分にお持ちだったりするんですよね。

“ラブ・ビューティ!”
 この方はヨーロッパ人の先生だったのですが、多分性格はやっぱりオネエ。ホントにきれいな男性ダンサーなのですが、カタコトの日本や英語で「美しく」を連発。何故かよくウェアやネイルなどにもチェックが入り、「Rucca、そのネイル素敵ね!」とか「おう!美しいウェアね!」なんてお言葉を頂くのですが、こんな事を言われると彼のレッスンに出る時はネイルもレオタードも見苦しくないように整えなくてはならない気がして、気を使うので参りました。この方、女性の動き方も本当にきれいに動ける方でしたよ。

“五右衛門先生”
 素人相手の先生って、多くは明るくクラスを盛り上げようとジョークのひとつも飛ばす方が殆どですが、この先生は本当に寡黙!表情もあまり笑わなくて「う、まるで葬式」と思わせるような雰囲気のクラスでした。しかしクラスの内容はとても良くて、良く考えられたアンシェヌマンで職人的。生徒さん達も黙々と与えられる訓練をこなし、何故か顔つきもコワイ(^^;)。ホントに「武士クラス!」と印象を受けましたよ。私はこの先生が出演している公演を見たことがないのですが、「普段はどんな表情で踊っているのだろう?」と思わせた先生でした。

 他にも、クラスではとっても小さい声でぼそぼそと話すのに踊るとものすごく力強い踊りをする先生とか、レッスン中に生徒の前でいつも失敗しまくる自由人先生とか(普通気にして生徒に失敗ばかりを見せないだろう!)、面白い先生と沢山お会いしましたよ。また、とんでもない先生もいて、終わりの時間までまだ15分以上あるのにアレグロの途中で、「はい、今日は終わり」って帰ってしまう。この方も外国人の先生でした(別に外国人であることは関係ないとは思うけど)。気分や都合でレッスンを切り上げるってどうなの?
総じて女性の先生より男性の先生の方がウォッチするにはよい対象でしたね (^O^)v
ツッコミどころ満載!

これからも更なるインパクトのある先生との出会いを期待しています!


では皆様、猛暑には充分気をつけて楽しいレッスンをして下さい。本番のある方は疲労と怪我にご注意を!
よい夏をお過ごし下さいね〜! (^o^)/