■ バレエ・レッスンでの並び方について

 バレエのレッスンでの並び方は、そのスタジオの大きさ、人数、先生の習慣、など状況によって様々です。時々「これがバレエの常識だから!ルールだから!」と固執される方もいらっしゃいますが、平均的な感覚こそあれ、「これが絶対!」という並び方はありません。下記を意識して並んでいれば大体OKです。

「なるべく他人の動作の邪魔にはならない」「他人の進行方向には立たない」「自分が鏡に映る位置に立つ」「隊形の位置は入れ替わらない」

先生からは「何人づつで」という指示が来ますから、その指示にしたがって動きます。ご参考までにセンターでの主な並び方を示しましたので参考にして下さい。但し、そのクラスによっての流儀もありますので、「郷に入っては郷に従え」で周りを見ながら動いて下さい。バレエは隊列の美しさも見せる踊りです。自分が動きながらも必ず周囲の方の位置にも神経を割いて動かなくてはなりません。勝手気ままに動いてよいものではないのです。


* アダージォやタンデュ
正面

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 人数やお稽古場の広さにも寄りますが、鏡に向かって横に並びます。なるべく自分が鏡に映るように。もし横の人と近すぎる場合は上右図の様に隣の人と前後をずらして立つとぶつかりません。周りの方が前後をずらして立つようなら自分もそれに合わせてずらして立ちましょう。


* アレグロ
 アレグロは基本的にはその場で始めるか、鏡に対して横に動いて始めることが多いです。もちろん斜めに始まるアレグロもあります。アダージォのように中央横数列で行う場合や、横一列で行う場合、あるいは下記の様に人数を少なくして行う場合もあります。少人数の場合は、アンシェヌマンに従って中央・左右・後ろ寄り・前寄りと始める位置を調節しなければなりません。大抵は先頭の組のベテランが決めますので、それに従って下さい。
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 基本的には横にぶつからない程度に間隔を空けて立ちます。但し歩幅は人それぞれなので横の人とぶつかりそうだった場合は、わずかに自分が後ろに下がればぶつかりません。しかし、それに合わせて横の方も下がってしまうこともあり、意思疎通が上手く行かない場合はあきらめて小さく動くか、2回目の時までに隣の方と打ち合わせておいても良いでしょう。(パによっては隣の方より前に出てしまうこともありますが、とにかく隣の方の走行妨害にならないように!)
4人の場合は平行四辺形に並ぶことが多いですが、上図の左右どちらの隊形になるかは、基本的には前列の2人が立った位置に従います。(その時の各自の希望もありますので、上手く空気を読み取る必要も実はあります。)


* ワルツ
 さて、ワルツは少々複雑です。対角線だけを使って動く場合は直線に進んで直線に戻ってくれば良いのですが、アンシェヌマンによっては、例えばコーナー(角)でソッテ・アラベスクした後、走って後ろ側へまわり込んでポーズ!、次は逆の斜めに進む、などの動きもあります。
自分の動線(動く線)は出来るだけ守るようにして下さい、ヨロヨロと動くと他の方の迷惑になります。

せまい日本のスタジオでは一番長く距離が取れる対角線に向かって動くことが多いです。但し、斜めに進むアンシェヌマンでも右に行って左に戻るなどの場合は、角度を浅めに取って進まないと前のスペースが足りなくなるので、計算して角度を取らなくてはなりません。


また、時々やたらとコーナー(角)を目指して進んでしまう方がいますが、自分が進むべき角度はコーナー(角)に向かってばかりとは限りません。むしろコーナーを目印に進める方が少ないくらいです。下図の様に2人の場合は、どちらも対角線上に立ってはいけません。対角線を挟んだ位置で動く必要があります。なぜか間違えている方が多いので気を付けて下さい。


<2人の場合>
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基本的には対角線をはさんで、同じ距離を保って動きます。まわり込む時も相手の進む道を邪魔してはいけません。


<3人の場合>
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3人でワルツを行う場合は三角形の隊列を組んで動く場合が多いです。時には下記の様にアレグロの時のような形で動くこともありますが、どちらの場合も3人の位置関係は変わりません。まわり込む時もお互いの位置が入れ替わったリはしませんので、先に進む人は早めに移動してあげて下さい。



<4人の場合>
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正面

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 4人の場合は基本的には対角線に対して四角形に並ぶ場合が多いのですが、スタジオの広さによってはアレグロの時のように平行四辺形に隊列を組む場合も結構あります。
平行四辺形で並んだ場合、アレグロでは上図の左右どちらの形でも構わないのですが、ワルツの場合は左上図の方が前列と後列がぶつかり難く、私は動きやすいのではないかと思っています。(スタジオの広さ・形・人数にもよります。)


 バレエでは基本的には隊列は崩しません。従って本来は後列の人は前列の人を追い抜いてはいけないのですが、オープンの成人クラスの受講者は技術レベルが様々ですので中々そうは行きません。技術の低い方にばかり合わせていては、技術が上の方の訓練にならなくなってしまうからです。追い抜きを禁止する先生もいらっしゃいますが、現実として多くのクラスで追い抜きが発生します。 但し!基本的に追い抜きを行って良いのは対角線上に動く時だけです。まわり込みをする時は邪魔になるので追い抜きはしてはいけません。まわり込みが終わるまでは我慢して下さい。

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スタジオの広さにもよりりますが、前列の方を追い抜く時は、前の方の間を抜けるか脇を通ります。マナーとしては直近の前の方の後ろ側を通って下さい。角度を調節して邪魔にならによう上手に行わなくてはなりません。直線で移動して戻る時も直線で戻ること。他の方の動線(動く線)上に留まってはいけません。
時々、角(コーナー)でアラベスク等をした後、対角線上に戻ることが解かっているのに、前の方の対角線上のすぐ真後ろでアラベスクをしてしまう方がいらっしゃいます。お互いが離れていれば良いですが、これは大変に危険です!コーナーでは後ろの人は必ず!前の方のすぐ真後ろにはならない位置でアラベスク等をするように調節して下さい。



まわり込む時も隊列は崩しません。そのままの隊列で、それぞれの場所でまわり込んで位置につきます。後ろの列の方は早めに動いてあげましょう。


 以上が並び方の目安となります。動き方は他にも円形で動く“マネージュ”や、八の字で動いたり、両側から始めて交差する動きなど様々です。 はじめにも述べましたが、これは目安に過ぎず、そのスタジオ、そのクラスごとで変わります。初めてのクラスでは後ろ側に並んで常連の方に合わせて動くと良いでしょう。
気遣いが多くて大変なように思えますが、身につけば無意識で行えることですし、何より群舞での練習になります。群舞で踊る場合は隊列を美しく形作る事にかなりな神経を割かねばなりませんから。
お互いが気持ち良くレッスンする為の「小さな」努力だと思って、頑張って下さい。