掲載日:2018/08/29
■ オニール八菜さん&アンドレイ・クレム氏のレッスンDVDが発売!

 久しぶりにレッスン・ビデオのDVDを鑑賞しました! 7月に発売されたばかりのパリ・オペラ座ダンサー オニール八菜さんが演技する『Hannah in Paris オニール八菜&アンドレイ・クレム パリ・オペラ座バレエのマスタークラス』です。
(タイトル長すぎ (^^;))

世界的に著名なバレエ教師アンドレイ・クレム氏のパリ・オペラ座シリーズの第3弾というところでしょうか。過去にはエトワールのイザベル・シアラヴォラさんやアマンディーヌ・アルビッソンさんの演技でも発売されています。

今回はバーからセンター、ポアントワークまでの約63分余をオニール八菜さんが実に美しい姿で見せてくれています。特典映像としては若手のアントワーヌ・キルシュ君(スジェ)の演技するボーイズ・クラス12分と、八菜さんのインタビュー4分が付いています。

 オニール八菜さんは、ニュージーランド人の父と日本人の母を持ち、日本で生まれ、8歳からニュージーランドやオーストラリアで生活されていました。オーストラリアのバレエ学校を卒業後、パリ・オペラ座に契約ダンサーとして入団、その後正規団員となり、カドリーユ→コリフェ→スジェ→プルミエール・ダンスーズとオペラ座の階級を着々と上って来た経歴をもつダンサーです。(詳細はネットで検索して下さいね。)

とにかく素晴らしい実力で、ローザンヌやユース(YAGP)でも好成績を残していましたので日本のバレエ界でも話題の人物でした。契約ダンサーとはいえ、パリ・オペラ座のダンサーとなった時は他人事ながらどこのスタジオでも話題になったくらいです!
私感ですが、八菜さんはとっても日本人らしい性質の踊りをされるので、その独特の繊細さ、正確さ、美しさが海外の審査員の目に留まり、数々の受賞に至っているのだと思います。現在は主役級の役を踊るプルミエですが、最高峰のエトワールも決して夢ではありません。が、エトワールになるには実力だけではなく、芸術監督の好みや、その時の環境など、運にも恵まれないとエトワールにはなれません。彼女に運が訪れることをひたすら祈るばかりです。

 さて、ビデオの内容ですが、バーはバレエシューズ、センターとポアントワークはポアントを履いて行われます。演技は丁寧で正確でとてもお手本になる映像です! アマンディーヌ版の時にはカメラワークが悪かったのですが、今回は全身がよく映っていて真横からも沢山見る事が出来ます、素晴らしい!

クレム氏のビデオのアンシェヌマンは高度な技はあまり行いません(別の意味でエグイ部分もあるんですが)。今回もレベルは初級〜中級が中心で、普段私達が練習しているアンシェヌマンと同じです。(ワガノワ・シリーズの上級編みたいに難しくはない)。私的には、ワガノワ・シリーズのビデオより、アンドレイ・クレム氏のレッスン・ビデオの方が素人には参考になると思っています。比較的簡単に見えるかもしれませんが、とても良く考えられているアンシェヌマンですよ。覚えて行ってスタジオで自習するのも良いと思います。(先生の目がない所での自習はやり過ぎないように!)

但し!シアラヴォラさんのビデオについては、私はジュニアや素人には絶対真似して欲しくないんです。見た目はすっごく美しいし、彼女のオーラ満載の演技なんですが、個性が強いのと足首を曲げ過ぎだから!!プロでもあそこまでやると危険。あれはあくまで観賞用です。

 今回のビデオの中で特に注目して欲しいのは、八菜さんのエレガントさだけではなく、正確さ!例えば真横を向いてルティレ・バランスを取る映像が出て来ます。一時停止して定規を彼女の姿に当ててみて下さい。床との接地面→座骨→骨盤の中心→頭の中心と垂直に一直線に並んでいるんです、パーフェクト!! 他にも真横からの映像が沢山あるので、姿勢の垂線にも注目して下さいね。

厳しい目でみると、わずかにターンアウトが弱い部分がありますが、それも無理な捻りや出尻などしていないから。素人にはとても参考になる使い方です。

薄いタイツを履いているので筋肉が良くみえます。前腿筋もふくらはぎ筋もちょうど良く発達していて、あの程度は発達させて良いということです。(アマンディーヌはちょっと発達させ過ぎの気もしますが、オペラ座はコンテンポラリーも多いから仕方ないですね。)

過去のビデオではクレム氏はダンサーにあまり注意は与えないのですが、今回は積極的に注意を行っていますので参考にしてみて下さい。(注意されるほどでもないように思えますけれど)

たった一人でほぼ休まずに撮影された様子で、最後には少し疲れが見えて気の毒でした。ポアントですし、10代なら良いですが20代にはキツイですよね。きっちり神経を使って動かねばならないので、踊る方が楽かも・・・。(^^;)

 八菜さんはスタイルは日本人離れしていますが、細さはアジア人の特徴。それは可憐さや繊細さを表現するには強みですが、その分オーラは弱くなりがち。ベテランのデュポンやシアラヴォラなんて、画面から跳び出て来るようなオーラですからね。負けずに頑張って欲しいです!

以上、大変お勧めのビデオでございました!
クレム氏のビデオには他にも、中村祥子さんがベルリン国立バレエの仲間たちと撮影したレッスン・ビデオがありまして、私はクレム氏のビデオではこれが一番好きです。色々なタイプのダンサーを見比べることが出来て何度見ても飽きません。良かったらぜひ!


          

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『Hannah in Paris オニール八菜&アンドレイ・クレム パリ・オペラ座バレエのマスタークラス』

イザベル・シアラヴォラ 『パリ・オペラ座エトワールのマスタークラス』

アマンディーヌ・アルビッソン 『パリ・オペラ座エトワールのプライベートクラス』

中村祥子 『アンドレイ・クレムのマスタークラス』


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