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掲載日:2018/1/16
■ 「ストレッチの記事を変更しました」

 皆様、明けましておめでとうございます。更新が遅くなってばかりで誠に申し訳ございません。m(_ _)m
今年も迷走しつつも頑張ってバレエについての記事を書いて行きますので、どなたかのお役に立てれば幸いです。但し、私の記述でご不快感など感じられた場合は悪意はありませんのでご容赦下さい。また、専門家でもありませんので間違いを記述することもあるかも知れませんし、意図を誤解されることもあるとも思います。“素人のおしゃべり”程度のおつもりで読んで頂けましたら幸いです。

 さて、かねてから思案しておりました、ストレッチについての記事をざっと変更させて頂きました。とはいえ現在でもストレッチについては悩み続けている次第であり、これはどのバレエの先生もお悩みになることではないかとも思います。主に「上達への道」や「脚を高く上げる−準備−」のページ等を変更しているのですが、どのような変更をしたのかをこのページで記述しますので、これらのページを再度お読み下さる必要はありません。他のページにも同じ内容で今後少しづつ手を入れて行きたいと考えています。

 ストレッチについての悩みとは常に、「どの程度無理をさせてストレッチをさせて良いものか悩む」という点です。人の身体は千差万別!大体の構造が一緒なだけで個人差はとても多いものです。児童については尚更、未完な体にどの程度の無理をさせて良いのかは特に難しいです。

 以前の私はこれほど個人差がある事や、バレエで行うストレッチの危険性について知識がなかったので、あまり疑問を持っておりませんでした。昔の時代から脈々と受け継がれてきた方法のストレッチを友人達とやり続け、自分達は故障が出ませんでしたので、各自で調整しながら行えば大丈夫だと思っていたのです。しかし、中には「体質的に出来ない人」「つい無理をしてしまう人」「毎日頑張り過ぎてしまう人」「ジワジワと傷める為にそれほど痛みを感じていないのに故障をしてしまう人」等、色々な方がいらっしゃるようです。

 私は主に“大人からバレエを始めた方”向けに記事を書いているのですが、そのような方々に例えば床で行う開脚ストレッチ(スプリッツ)は負担が大き過ぎるかも知れない、などと思うのです。ストレッチの危険性の大きさを私に気づかせて下さったのは、以前ご紹介させて頂いた、ダンス解剖学のスペシャリストである佐藤愛さんのサイト“DLS”です。佐藤さんはストレッチを推奨していない方で、その理論はとても説得力があり疑うものではありません。しかし、プロを目指し毎日レッスンを行う児童やプロとしての身体の出来上がっているダンサーと、せいぜい週数回のレッスンを行う私達大人素人では様々な部分が違うと思うのです。また自分の実感として、やはりある程度のストレッチは必要だと感じています。

ですのでストレッチについての記事は削除しなかったのですが、より安全の為に“正しい方向に伸ばすこと”、“絶対に無理はしないこと”、“長く負荷を掛け過ぎないこと”、“せいぜい「痛気持ちいい」程度で終わらせること”等の注意を加えて、書き直しています。

 前述しました開脚ストレッチはバレエのストレッチとしての基本のようなストレッチでした。前後に脚を上げる為にはあの床での逆さT字が必要なのだと思って一生懸命開いていましたが、本当はあのT字の形ってクラシック・バレエには必要ないのです。特に後ろ脚!他のページにも書いてありますが、骨盤を垂直(意識の上での垂直)に固定した場合、脚が開く(外転する)角度は大体、前60度・横45度・後ろ15度です。後ろタンジュでは骨盤は既に少し前傾しています。それなのに床の上で逆さT字を作り骨盤を立ててしまったら、股関節の前側(脚の付け根の前側)は伸ばし過ぎてしまうことになります。

横開脚も同じ事で、問題の発生しない人もいますが、完全に180度に開こうとすると関節がぶつかってしまったり、関節を守っている靭帯を不必要なまでに伸ばしてしまい、関節が不安定になってしまったりするそうです。そう、靭帯は関節に無理が掛からないように関節を止めてくれている物なのでむやみに伸ばして良い物ではないのです。

グラン・ジュテもエカルテも、上半身に対して骨盤は傾斜しているのですよ。だから、股関節の前の部分を折り曲げる必要はないんです。もちろん股関節の前側のストレッチもある程度は行った方が良いのですが、その部分は大きく湾曲していれば良いのです。骨盤を立てて逆さT字に近づける必要はありません。
(男性のジャンプで逆さT字がありますが、あれ脚は真横に180度までは開いていませんので。)

 (判る方にはわかりますよね?某バレエ団の公演のお写真です。著作権的には多分NGなんですがちょっと載せちゃいます。骨盤ちゃんと前傾してますでしょ?)

「ではアラベスクはどうやって作るの?」という疑問が出て来ますよね?アラベスクは骨盤は前傾させて、ウエストから胸部を通って頭までの範囲で大きく湾曲させて、またウエストや胸部をひねって、アラベスクの形を作るんです。

なのでストレッチの記事では「股関節の前側は不必要に伸ばさなくてよろしい」という内容の記述も入れています。結構多いのです、股関節の前側が痛くなる人!

 また、T字を作る開脚ストレッチをしなくても、床に仰向けになって伸ばした脚を手で前や後ろに上げるストレッチはT字よりは安全なので、そちらで脚を開く為のストレッチを行えば良いと思います。ここで注意が必要なのは、まずは上げる脚の膝を曲げて、膝で円を描くようにして先に股関節を緩めて、それから膝を伸ばすことと、立って行った時の身体の姿勢(骨盤の位置や角度)に注意して行わないと意味のないストレッチになってしまう、という点です。

 脚を上げられるようにするにはストレッチよりも、筋肉の状態を良く保つことと、筋肉を強くすることなのだそうです。良い状態の筋肉は伸縮し易く、レッスンを良い状態で繰り返すことによってちゃんと脚は上がるようになるんですって!

では「ストレッチなんぞ止めてしまえ!」と言えれば良いのですが、私にはそう思えないので今でも自分の可動範囲内でストレッチはしています。しかしこれはもう自己責任の世界です。大人ですので自分の選択ですね。ちょっと無責任な言い方かも知れませんが。

いつも考えるんです。自分も含めた大人素人には「出来ないこと」「やらない方が良いこと」が沢山あって、先生方には「そこまでやらないでいい」と言われてしまう。「大人バレリーナさんは強いターンアウトはしなくていいです」「大人素人さんは脚を高く上げなくてもいいです」「大人初級者さんはポアントを履かない方がいいです」等々。故障させるのが怖いから。私も記事に書いています、安全の為には書かざる負えないから。
でも・・・ダメダメばかりでは、つまらないですよね?だったら別のダンスやエクササイズでも良い訳ですから。グラン・フェッテだってイタリアン・フェッテだって、出来ないと解っていても挑戦してみたい方は沢山いらしゃいますよね?(私はちゃんと訓練すれば誰でもいつかは出来るようになると信じていますけれど。ま、32回転は厳しいですが
A(^^;))
いや、「先生に逆らえ」と言っている訳ではないのですよ。自己流でやって怪我をしたり、間違って覚えたりしますから。でも気持ち的にね、いつかの目標に向かって少しづつ努力しても、無理はしない前提ならば良いのではないかと思っています。難しいかな。

T字のストレッチだって、本当はロシアのように骨格的に選ばれた人ならそれほど危険ではないストレッチなのかも知れません。どの世界でもプロの世界は厳しいから、条件をクリアして障害が起こらなかった人だけが残るの。でも、もし自分が故障をして一生苦労する障害を抱えたら、やっぱり後悔するかも知れない。ただそこで自分が危険だと知っていて選択して行った後悔と、知らずにやってしまった後悔なら、私は前者の方がずっと納得できるような気がするのです。もちろん!誰しもが安全にバレエを学べることが一番で、その研究が大人素人についても進んで欲しいと心から願っています。

 安全を考えるとストレッチについては中途半端な書き方になってしまうし、感覚的に感じて欲しい時は解剖学的には正確でない言い方を書いていたりします。それが嫌な方にはごめんなさい。技術の説明には色々なアプローチがあって、人によってピン!と伝わるボキャブラリーや表現が違います。私の説明はそんな沢山の中のたった一つのアプローチに過ぎないんです。どなたかのお役に立てば良いのですが。

 それと、しつこいですが、ストレッチの前にはウォーミングアップです!たった5〜10分程度で筋肉は大分柔らかくなります。心掛けて下さいね。

 ではでは、皆様!こんな私ではございますが、今年もよろしかったら記事をお楽しみ?下さい。よろしくお願い致します m(_ _)m