先頭に戻る
掲載日:2014/04/30
■ 「とりとめのない話」

 これを書いている本日は平成最後の日、平成30年4月30日です。皆様楽しいGWをお過ごしですか?お仕事の方もいらっしゃいますよね。私も普段忙しくて出来ないような家事に忙殺されています。

 数週間前にレッスンで先生から「平成のうちに出来る様になりましょうね〜!!」なんて掛け声を掛けられましたが、皆で「平成に出来なかった事が令和で出来るようになるとは思えない。」と笑っていました。私など「昭和でも平成でも出来なかった事なんて、これから老後の令和で出来る訳がない。」なんて思ってしまいましたよ。ま、あきらめてはいませんが。

 “昭和時代のバレエ”と“平成時代のバレエ”を比べると、自分にとっては昭和のバレエは“修行”平成のバレエは“学びと快楽と故障”でした。また、私の立場から見た日本のバレエ界の大きな変化といえば「大人からバレエを始める人がとっても増えたこと!」これはとっても大きい変化でした。

昔はバレエ教室って子供の指導が中心で、成長すると受験や就職でバレエを止めてしまう人が多かったです。わずかに残っている人がいても子供の頃から続けている人ばかり。ですので、自分がバレエ・レッスンに戻れるなんて思ってもみませんでした。次第にカルチャースクールなどで大人向けの入門クラス等が出来て、嬉しい事にチケット制などのオープン形式のクラスも出来て、大人でも大分レッスンを受け易くなりましたよね。

(誰でも受講できるオープン・クラスを初めて開講されたのは故・小川亜矢子先生ですが(他でもあったかも知れませんが)、最初の頃はプロ向けのオープンクラスだったと思います(たしか)。私の師匠方も退団された後にお世話になられているのですが、まだまだフリー・ダンサーが練習できる場が少なかった中、大変貴重なクラスだったそうです。後に素人向けにも開講されたので私も小川先生にご指導を受ける恩恵に恵まれました。オープン・クラスというシステムを日本に広めてくれた小川先生には本当に感謝です!)

 以前はね、「趣味でクラシック・バレエを習ってます」って中々言いづらかったんですよ。バレエって“子供のお稽古事”って印象が強くて、一般の男性からはよく「バレエってこれでしょ〜?」なんて変なジェスチャーでからかわれる事が多くて、あまり人に言いたくなかったですね。でも今は沢山の大人の方がバレエを習われていて、今なら胸を張って「趣味でバレエを習ってます」と言えるようになりました。いい時代になりましたね〜(^^)b

私も含め沢山の素人の方がバレエを習うようになったので、クラスも増えましたし、レッスン代や発表会代も少し安価になったり、バレエ界の変な悪しき習慣も少なくなって来たと思います。もちろん良い事ばかりではないですが、新鮮な風が入って来た気がします。そうそう!バレエ用品の種類が激増して輸入品もめちゃくちゃ増えました!これも嬉しい。

 先程、昭和のバレエは“修行”だった、と書きました。確かにそんな感じ。自分も子供で盲目だったのですが、先生は「神」でしたから、今では信じられないくらいのスパルタとモラハラの嵐でしたよ。あくまでも厳しい“芸事”の世界でしたからね。でもそんなのおかしいですよね?だって謝礼を払って指導を受けているのに、時にはむちゃな訓練をさせられたり、心を傷付けられたりとか…、そんな事をしなくても上達は出来るはずです。厳しくするのと意地悪くするのとはまったく違います。

最近の若い先生方はそんな指導はされません。厳しくはあっても昔のような暴言は浴びさせない。指導もとっても理知的になって来ましたし。(まだまだ感情的な指導者もいますけどね。)

(余談ですが、先日「先生が怖すぎてもうダメ」って生徒さんが一人クラスを止めてしまいました。昭和バレエの目で見ていると「全然カワイイもん」なのですが、バレエの先生って時々一人を集中攻撃してレッスン中ずっと見張っていることがありますから、それが耐えられなくなったのかも知れませんね。「厳しくて細かくて、人をコケにする言い方はするけど、えぐったり尾を引いたりはしないんだけどね〜」と家族に言ったら、「その感覚の方が変じゃない?だって素人なんでしょ?」と言われてしまいました。やっぱり変なのだろうか…。昭和の先生って絶対に誉めない先生が殆どですからね。「叱られて上等、無言でマシ、無視で破門」なんて感覚なんですよ。)

 バレエって、踊る事って本当はとってもとっても「楽しいこと」なんです。出来なかったことが出来る様になる、自分の動きがだんだん楽になって、どんどん綺麗に動けるようになって来る! とっても快感なことなんですから。

 平成のバレエは科学も取り入れられて“根性バレエ”は下火になり、素人の世界では楽しくレッスンが出来るようになった時代だと思います。一方、プロの世界では異常なほどの身体能力が求められる時代になり、素人とプロの技術的距離は大きく離れる一方ですね。人間は限界を超えて行くものなのだとつくづく思います。

 バレエ公演では上演不可能だったグランド・バレエ、例えば「海賊」や「バヤデール」「ライモンダ」などが国内でも全幕で観られるようになりました。みんなダイジェスト版のディベルティスマンばかりでしたもんね。

バレエ・ビデオも今は沢山発売されているでしょう?昔は国産のVHSのバレエ・ビデオなど中々なくて(ビデオ・デッキすら無かったのよっ!)、東京・青山のフェアリーなどへ直輸入ビデオを買いに出かけたり、NHKの放送を必死で録画したりしましたよ。その代り、踊りのリハーサルでは先生から直接振り移しをして頂けたので、動きの意味や感情表現なども一緒に伝授して頂けたので、とても為になりました。今どきのジュニアって形だけそっくりコピーして来ますからね、なんとなく味気ない。でも世界中の名花の演技を次から次へと観られるのは、たとえ映像であっても至福の恩恵だと思います。

 時代が良い方向に進むって素晴らしいですね。さて、「令和」はどんな時代になるのでしょう?

皆様の素晴らしい「令和の進化」をお祈りしています!