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掲載日:2018/4/13
■ 「生徒同士のアドバイスは禁止!」

 先日長年の友人からふと愚痴を耳にしました。同じクラスの生徒さんからよく注意をされる、というのです。彼女はそれでそのクラスに参加するのが最近は憂鬱になって来たといいます。

以前にも書きましたが、バレエのレッスンでは生徒同士の注意は原則禁止です。はっきり言ってほぼ厳禁!と言っても良いかも知れません。理由はわかりますよね? 生徒からでは正しい指導でない可能性も高く、また生徒同士に上下関係があってはならないからです。(昔は先輩・後輩の上下がありましたが最近の素人クラスではないはずです。)

友人の彼女(Aさん)は大人になってからバレエを始めた方で、でもキャリアは長く、確かに人から「上手!」とは言われないレベルかも知れませんが問題なく初級レベルのパをこなしています。そんな彼女が2年くらい前から新しいスタジオに通い始め、そちらで発表会に出たことがきっかけで、一緒の群舞になった一般生徒のBさんから色々なことで注意を受け始めたらしいのです。

 Bさんの真意は判りません。良かれと思ってしているのかも知れませんし、あるいはAさんを見下して優越感に浸っているのかも知れません。Aさんいわくは「常に私に対してイライラしてるみたい」と言っていました。恨まれるほどの接触も無かったそうです。

小さなバレエ・クラスといえど人間社会です。本当に様々な方が一か所に集まりますので、時々驚かされるような事に遭遇しますし、耳にします。踊り好きさんは自己主張が強い方も多いので、トラブルが起きやすいのも事実だと思います。

 Aさんは(私とは真逆の)とてもおっとりとした人柄の良いタイプで、あまり強く自己主張はしません。しかし自己主張が少ない方によくある“芯はしっかりしている”タイプなのです。機会は少なくとも自分の事についてはこれと決めたら絶対に曲げないタイプでもあるのです。しかし相性は人それぞれですので、Bさんには気に入らないタイプなのか、あるいは気になってしょうがないタイプなのかも知れません。

いつも一緒にレッスンに出る相手ですから、ご機嫌を損ねたくなかったAさんは、言われるままにしていたらしいのです。ぼんやりと「私はマイペースでやりますから・・・」と伝えたらしいのですが、彼女のダメ出しは止まりません。Bさんの技術は講師レベルなのかと聞いたらAさんと大差ないそうです。

 さて、どうしたら良いものか?皆さんならどうしますか? 私達は結局、このままBさんからのアドバイスを実行しない方法を貫くのが一番ではないかという結論になりました。Bさんはとてもプライドが高くクラスの中心的人物、彼女は上手くBさんと話し合いをする気力は無いそうです。そして、Bさんからの攻撃による実害が大きくなったら、スタジオかクラスを移ることを考えるという方針に。しかしこれが正しいのかどうかは判りません。私にはエスカレートする臭いがプンプンします(-o-;) AさんがBさんからの攻撃を無視して強く居られるなら良いですが、バレエ・スタジオではレッスンだけに集中したいですよね。

小さな子供ではないので先生に相談しても効果がない可能性が高いですし、下手をすればBさんから恨みを買います。教師側からすれば大人同志のトラブルには介入したくないし、その権利もないというのが本音ではあります。(スタジオに入会する時の規約で、他人への迷惑行為がある場合は退会させるという権利がある場合が多いですが、余程の行為でなければ実は行使出来ない権利なんです。相手が興奮して「裁判沙汰にする!」と捨て台詞を吐いたという話も聞いたことがあります。退会はあくまでも「退会をお願いする」行為なんですよ。)

しかし大抵は先生が見ていない所で注意する場合が多いですよね。Bさんもそう。

本当は皆さんが楽しめる場を提供したいので教師も何か手を打つべきだとも思うのですが、中々難しいです。しかし教師がきちんとした姿勢を示して、生徒を公平に扱い、皆さんの前で「何かあったら言って来て下さいね」と言うだけでも効果はかなりあると思いますよ。

 これは私の勝手な憶測ですが、BさんがAさんを好きかどうかは別として、Aさんは多分、Bさんに“舐められている”のだと思う。どの社会にでも根底に勝手なヒエラルキーを作るタイプの人が結構います。相手をえらんで物事を言うタイプです。私はこのヒエラルキーが大っ嫌いなんですが、バレエって元々が主役を頂点としたピラミッドで成り立っているので、それを素人に持ち込む生徒や果ては先生まで居たりします。いいですか皆さん、素人のバレエの世界では生徒同士のヒエラルキーなんてあってはならないんです。生徒同士は同じレッスン代を支払っているのですから!(残念ながら発表会の配役は別。でもそこに上下関係はあってはならないんです。)

私はそういうものに巻き込まれる事が大の苦手なので、いつもバレエのお仲間とは一歩引いてお付き合いしています。それが良いか悪いかは個人の問題ですから。もちろんお付き合いが長くなれば気心知れて仲が深まるお相手もいますけれどもね。それが原因か時々周りに「Ruccaさんて怖そう」という方がいらっしゃるそうですが、大抵は「話すと普通〜」なんて言われます。多分私は苛められたくないので周りの方を威嚇しているのかも知れませんね。これは直さないといけないかな。社交の上手な方は巧みにトラブルを回避されますよね。

 レッスン中、私も本音を言えば、時々見ていてスゴくアドバイスしたくなるお仲間さんと遭遇したりします。「ああ!ここを直せばもっと良くなるのに」とか「あとちょっと重心が前にくれば楽になるはずなのに〜」とか思ってウズウズします。しかし生徒である時はひたすら我慢です!友人からアドバイスを求められた時にだけ少ししますが、あくまでも先生に聞いてもらう方が優先です。ただ先生も全員の全ての動きに目が配れる訳でもありませんからね。

本人に注意することはしないにしても、他人の動きをよく観察することはとても勉強になりますよ!しかし間違った動きのイメージが自分に影響してしまう、という危険性もありますけれどね。自分のことは棚どころか雲の上に置いておいて、他人のあら探しと良き探しをすることは決してタブーではないと思います。特に素敵な所はどんどん盗みましょう。しかしまずは自分の眼が養われていないと何が良いのか解りません。先生の動く姿やバレエ映像等を目に焼き付けて、分析してみて下さい。

生徒同士の注意は本人のプライドを傷つけたり、タイミングによっては集中力を奪うことを招いたりします。たとえ「私は平気!色々な人から沢山注意が欲しいわ!」と思っていても、そう考える人ばかりではないことをお忘れなく!小さなアドバイスでも“ちりも積もれば山”となります。

 一般の生徒さんが他の生徒さんに間違った指導をしている姿などを目にすると「眼に痛い〜」と感じるのは私だけではないと思います。悪気はなくても嫌な人には嫌なものなので、またそれをはっきりと口に出来ない事の方が多いので、良かれと思っても他人への要らぬ注意はしないようにしましょうね。その代り、良い所はどんどん誉めてあげましょう!その方が相手の為にはなります。但し、嘘やお世辞はダメですよ。(^o-)b