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掲載日:2017/05/10
■ 「大人からバレエ」を笑わないで!

 バレエについての情報をインターネットで検索をしていたら、大人からバレエを始める人達に対して、あまり好感を持てない方々が書き込んだコミュニティーを発見してしまいました。物の考え方は人それぞれですので意見を発するのは結構ですが、インターネットはプライベート制のサイトでなければ公開の場なので、正直もう少し配慮をした言葉使いをして欲しいものだと感じました。正直、私としてはあまり気分が良くない表現でした。

 その意見に対抗する訳ではないのですが、私もちょっと意見を書かせて下さいね。私の場合は、コメントなどの意見を受け取っていないので、とても一方的な意見の発し方となりますが、インターネットって自分の考えやコンテンツを発表する場でもあると思いますので、この先は一方的な意見としてご興味のある方だけお読み下さい。

 私には「大人になってからバレエを習う」ことのどこが悪いのか全く解りません。
まず一番に言われる事は「見苦しい」という意見。そんな事は本人たちが一番解っています。その恥ずかしさを乗り越えた人達が、生涯を通じてバレエという芸術&エクササイズを楽しんで行けるんです。(見苦しくなんてないですけどね。)
 大体、誰に迷惑を掛けているというのでしょう?発表会で踊る姿が美しくないから?何が美しいかは主観ですが、発表会って基本的にお客様から見料を頂いていませんよね?(費用が大きかったり、ゲストが多かったりする場合は有料の会もありますが。)「発表会」というのは文字通り、学んで練習した結果を、それを承知で見に来て下さった方の前で披露する場なんです。どんなに下手でも出演して悪いことはありません。美しい踊りを見たいならお金を払ってプロの公演に行って欲しい。

 時々、大人を指導している先生の中にも本音では“大人からバレエを習う”ことをバカにしている人がいます。こんな共感力のない指導者は生徒を成長させることは出来ません。誰のお金で収入を得ていると思っているのでしょう?大人も含めた生徒のレッスン代からですよ。

 更に(ごく一部だとは思いますが)プロのダンサーのくせに、日本のバレエ事情が解っておらず、“踊れること=人間的価値が高い”などと思っている“世間知らずのお嬢様バレリーナ”、大人からバレエを始める苦労を笑うプロのバレリーナの人に考えて欲しい。
バレエという芸術が日本で広がる為には沢山の人にバレエを愛してもらわなくてはなりません。バレエ公演のチケットって1枚いくらします?決して安くはない。働いて得たお金って本当に貴重!それを誰がバレエ鑑賞に費やしてくれるのでしょう?美しいバレエを観たいと願う人達です。それならばバレエに触れて、バレエを「観る」だけではなく、「やってみる」事でもバレエを知って欲しい。そしてプロの素晴らしさを体感して欲しいと思いませんか?どれほど難しいことをプロのダンサーがやっているのかが実感してもらえますよ。
「観る」だけの楽しみでエンターテイメント満載の今の時代、一体どれだけ数のお客様を集客できるでしょう?裾野は広げなくては!

それに子供のお稽古事の世界だけで資金が足りる訳がない。日本政府はあまりバレエ界にお金を出してはくれませんし。大金持ちのパトロンも今ではもう殆どいません。

そんな自分達の置かれている環境を理解もしないで、自分達を支える立場の人間を笑うような、人間的未熟なダンサーの自己表現を観ても心は打たれません。そんなダンサーには自分のいるバレエ界が先細りになる恐怖をもっと感じて欲しいものです。

 親のお金でダラダラとバレエを習っている子供より、自分の身銭を切ってバレエを習う大人の方がずっと熱心な生徒が多いと思います。大人からバレエを始めるって本当に大変!とても根気と我慢がいる作業です。続けられた方々ってホントに頑張り屋さんだと思います。もちろんバレエの楽しみ方はそれぞれで、技術の習得より踊る楽しみの為に習っている人がいても、他人に迷惑を掛けない限りそれで良いです。(真面目にレッスンを受ける気がないのにレッスンに参加する生徒は問題外ですよ。)

 繰り返し言いますが、人生って1回しかなくて、そしてとっても短いの。自分に費やせる時間は更にわずかです。私は人生には反省はあってもやらずの後悔は出来るだけ少ない方が良いと思っています。子供の頃からやらなければプロ・レベルに成れないからと言って、どうして大人から始めてはいけないの?経験は実を結ぶものだけが貴重なのではありません。その過程にこそ価値がある。趣味は職業とは違います。
誰しも「自分にとっていい人生だったな」で死んで行きたいじゃないですか?私はそう思います。

 “大人(素人)バレリーナ”の皆さん、どんどんバレエをやりましょう!自分に合った「バレエ道」を進みましょう!踊る快感を沢山味わいましょう!
もし誰かに「大人からバレエだなんて」と笑われたら、「下手なくせに」と笑われたら、「でも私の心は充実しているわ」と反論して下さい。人の一生懸命を笑える人間は自分が満たされていない、満たされていないことに気づけていない大人が多いですから。
(未熟なジュニアもいつか自分も歳を取ることに早く気づいて頂戴ね!)

 つい、感情に任せて書いてしましました。読んでいて誤解がなければ良いのですが。
不快に思われた方は一方的意見でごめんなさい。