『眠れる森の美女』(眠りの森の美女)

おすすめ順にDVDのご紹介をしています。商品購入へのリンクもご用意しましたので、 ご希望がありましたらご利用になりやすいショップにてお求め下さい。このページでご紹介している直輸入版は 国産のデッキで再生可能な物をご紹介していますが、直輸入版はリージョン・フリーやNTSCの表示など、 国内で再生可能かどうかを再度確認してご購入下さい。
下記以外にも欲しい品がありましたら左側のショップ用検索で“DVD 眠り”や “blu ray 眠り”などと入力して検索をご利用下さい。
また、間違って他の商品やCD等をご購入されないよう気を付けて下さいね。

 グランド・バレエ『眠りの森の美女』はクラシック・バレエの王道中の王道!「最高峰」と呼ばれる作品です。
初演は1980年ロシアのマリインスキー劇場で、作曲はチャイコフスキー、振付はマリウス・プティパ。台本は、古くからヨーロッパ各地にあった眠り姫の民話をペローやグリムが童話として脚色し、それを元に作られました。童話の世界ということで第3幕の祝宴のシーンでは「赤ずきん」や「シンデレラ」「長靴をはいた猫」「青い鳥」などの主人公達が踊りを披露し楽しい作品になっています。
第3幕最後のアポテオーズ部分は省略されることも多いですが、華やかな祝典の後、厳かな音楽に合わせ人々が妖精(リラの精、原曲では太陽王ルイ14世に扮したアポロンらしい)を称え感謝して終わるという台本の為挿入されています。最近は主役2人を中心に添えて幕となる演出が主流のようです。
ちなみに王子の名前ですが、デジレ、デザイア、フロムリント等、版によっていくつかあります。呼び方が違うだけで大きな違いはありません。

 主役の2人は“ノーブル(貴族)中のノーブル”と言われる気品を表現することを要求されます。第3幕のオーロラのヴァリエーションはシンプルな振付けである事もありコンクールなどで多用されますが、本来オーロラは完璧なバレエのフォルムを表さねばならず、とても難しく基本と実力が要求される踊りです。また「派手過ぎず、地味すぎず、美しく可憐で、気品があり、男性が守りたくなるようなお姫様」という役柄はテクニックだけでは到底表わせません。バランスを見せる第1幕の踊りもあまり完璧に強くバランスを取り過ぎると、「あの完璧なバランスでは王子達は手を差し伸べたいという気分にはならない」と酷評されたこともあったほどです。 それほど厳しい目で見られるオーロラは、だからこそ「プリマとなれたら必ず一度は踊りたい」「オーロラで認められてこそのプリマ・バレリーナ」「オーロラの踊りにはバレエのすべての基本が含まれている」等と言われています。

クラシック・バレエ最高峰のバレエ作品。古き良き宮廷時代の世界に浸って、おとぎの国の世界を楽しんで下さい。

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パリ・オペラ座
『眠れる森の美女』1999年



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バレエDVDコレクション





華麗なるバレエ04
(小学館DVD BOOK)


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<超豪華版!フランス宮廷の眠り>

上演:1999年 149分  振付改訂:ルドルフ・ヌレエフ版
主演:オーレリー・デュポン & マニュエル・ルグリ
   フロリナ王女:デルフィーヌ・ムッサン
   青い鳥:バンジャマン・ペッシュ

 とにかく豪華な舞台・衣装・キャストの3点セットの作品です。そしてそれに負けないテクニックのパリ・オペラ座ダンサー達。「豪華なグランド・バレエ」を楽しむにはこちらが一番!だと思います。衣装もまさにフランス宮廷風?。

 時として改悪とも言われるヌレエフ版ですが、こちらの演目は元プティパの振付けを(かなり難易度は上がっていますが)大切に踏襲しており、小うるさいステップ(失礼!)等もなく落ち着いて観る事の出来る振付けです。
この版で一番残念なのは、カラボスもリラも一切踊らないこと!リラが大好きな私としては残念でなりません。(初演のプティパ版ではリラもカラボスも踊っていなかったそうなのですよね。その代わりに妖精が6人になっておりリラの踊りもきちんと入っています。)

 ヌレエフ版らしく男性の踊りが増えています。王子のヴァリエーションがてんこ盛り!第2幕に長く難しい王子のソロがたっぷりと挿入されています、まあルグリなのでそれも素敵なのですが。またキーロフ版でよく踊られる第3幕のリラの踊りは第2幕幻影のシーンでの王子のヴァリエーションになっています。
リラの精達も衣装が紫でないので“リラの精”ではない感じです、デザインも少し目にうるさいような…。
また、シンデレラも赤ずきんも親指小僧の踊りも無しで、最後の厳かなアポテオーズもありません。楽しい雰囲気で幕!となります。

 キャストはデュポン&ルグリのゴールデンコンビ!が主役。若いデュポンの瑞々しさと、持ち前のクールさが気品となって気高さを表し、まさにオーロラそのもの。ルグリはもう王子様を踊ったら右に出る者はいない品の良さですので、どっぷりと王宮の世界にハマれます。テクニックの素晴らしさも、反面オーロラのわずかな危なっかしさも感じられて、完璧な「眠り」感を味わえます。まさにお勧めです!!後のデュポンではこの初々しさは出せないでしょう。

 脇のダンサーもフロリナ&青い鳥をムッサン&ペッシュ、白い猫にピジョル、宝石にジロー&バール等、後の主役陣が満載です。コールドもオペラ座ですので素晴らしいレベル。どのダンサーを観ても安心して観ていられます。
安心してお勧め出来る作品だと思います。

※ 2011年に「バレエDVDコレクション」(3号)で廉価版が発売されています。古本で手に入るかも知れません。
他にも小学館から解説付きDVD・BOOKも発売されています。
英国ロイヤル・バレエ
『眠れる森の美女』2006年



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<愛らしくも安定したテクニックのオーロラ>

上演:2006年 134分
振付改訂:フレデリック・アシュトン、 アンソニー・ダウエル、
     クリストファー・ウィールドン版
主演:アリーナ・コジョカル & フェデリコ・ボネッリ
   リラの精:マリアネラ・ヌニェス、
   フロリナ王女:サラ・サム、 青い鳥:佐々木陽平

 今回はこのビデオも上記のパリ・オペラ座版と同じく1位!とさせて下さい。あまりにも趣きも振付けも違いますので甲乙がつけがたいです。ロイヤル版はプティパの原典からかなり振付けが変更されていますので。

 やはり演劇的な英国ロイヤル!とても表情が豊かで、このビデオならバレエ鑑賞に慣れていない方でもお芝居を見ているように楽しくご覧になれるのではないでしょうか?踊りのみならず舞台上のすべてのダンサーが細かく演技をしていますので、ビデオで繰り返し再生しながら背景までもが楽しめる所もロイヤルの魅力です。

 とにかくテクニック盤石なコジョカルのオーロラに、テクニックでは遜色ないヌ二ェスがロイヤル版の難し〜いリラの精のヴァリエーションをほぼ完璧に踊ってくれます!これはスゴイ。ぜひヌニェスの体幹の強さにも注目して下さい!ヌニェスにはぜひ第3幕のヴァリエーションも踊って欲しかったのですが、ロイヤル版はここは原曲に忠実に第3幕でリラの精は踊らないのですよね、残念。
コジョカルのオーロラは気品というより可愛らしさの象徴、愛されて育ってきた温室育ち度がいっぱいです。踊りもロイヤルの上品なスタイルを守りまさに王道のポジション。安定した素晴らしい踊りです。(欲を言えばもう少しつま先が細いポアントを履いて欲しい…ロシア製ポアントとまでは言いませんが(^^;))。反面、王子のボネッリがちょっと平凡な気がしましたが、品もあるしお坊ちゃま風でまあ不足なしという感じ、『眠り』の王子はインパクトを残すのは難しいですしね。

 こちらの宝石はパ・ド・トロワで金銀の踊りがソロになります。金銀の踊りのシンクロが楽しみな方には残念ですね。また男性のヴァリエーション(サファイアのヴァリエーション)もありません。フロリナ王女はサラ・サムがきれいに踊っています。佐々木君の青い鳥も文句なし。
また、できれば私的にはリラの精達はもう少し数を増やして欲しい気がしました。この雰囲気だと少し寂しい気がします。リラのコールドもとても楽しみな踊りですので。

また、この版の花のワルツはフォーメンションが大変きれい!『眠り』の花のワルツはその版によって異なるので見どころの一つなのですが、曲が長くてそれほど高度な振付けがある訳でもないので、悪くすると退屈してしまう踊りなのですね。しかしとても美しい踊りです。この踊りの肝はいかに美しい“フラワー・ガーデン”を表現できるかだと思うので、群舞の形や動き方がとても大事!セルゲイエフ版などは子供の踊りも入れて楽しませてくれますし、この版では大人が綺麗で華やかな空間を見せてくれます。ぜひ注目してみて下さい。

物語として『眠り』を楽しむなら、ぜひお勧めなビデオだと思います。

※ 解説ナビ付きのDVDが発売されています。
キーロフ劇場
  (マリインスキー)
『眠れる森の美女』1989年



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<原典に近い『眠りの森』>

上演:1989年 119分 振付改訂:コンスタンチン・セルゲイエフ版
主演:ラリッサ・レジュニナ & ファルフ・ルジマトフ
   リラの精:ユリア・マハリナ、 フロリナ王女:タチアナ・テレホワ

 私には『眠りの森』といえばこのビデオなのです!プティパのオリジナルに一番近いとも言われるセルゲイエフ版、私達の世代では発表会などの振付けは殆どこのセルゲイエフ版を土台としたものでした。新国立のこけら落とし公演の時の『眠り』もこの版が土台です(主役の吉田都さんと熊川哲也さんはロイヤル版で踊りましたが)。VHSのビデオで発売された時は確か一万円近かった値段だと思います。どれほど繰り返し観たか分かりません。

 古い時代の舞台ですし、主役はまだ20歳のレジュニナです。これはロシアでよくある若いスターご紹介の公演(カナダ・モントリオール)で、若いレジュニナは必死!テクニック的にはまだ不安定で、でもまたそこが良い!という感じ。そんな彼女をベテランの主役陣ルジマトフ、マハリナ、テレホワがしっかりと支えています。本当に可憐なオーロラなので、テクニックにこだわらない方にはぜひご覧になって頂きたいです。

 マハリナのリラの美しく威厳のある様は本当に妖精の女王という感じ。このビデオの妖精達はとても可愛らしく本当にキラキラと飛んでいる気がします。こんな風ですとこの時代のバレリーナの見事な出っ尻も効果的ですよね〜。(^m^) 宝石のダイヤモンドの精も本当にキラキラと輝きを表現しています。ダイヤモンドの振付がこの動きであることを実に納得させてくれる。
そしてテレホワのフロリナ王女、今の若い人にぜひ見て欲しい!ちゃんと青い鳥の声を聞いて、探して、存在を感じているのです。最近の表現はここら辺がとても手抜き!青い鳥のヴィタリー・ツヴェトコフも長い手足を優雅に動かし余裕のある踊り、ジャンプ力がないとああは踊れません。(ちなみにテレホワは後にレジュニナの師匠になります。とても良い師弟関係だったそうですよ。)

私が見たのはVHSの画像ですので画質は良くないのですが、現在はデジタル処理されてDVDになっています。これからもずっと残してほしい映像です。

≪2015年版 マリインスキー・バレエ『眠りの森の美女』≫
上演:2015年
振付:コンスタンチン・セルゲイエフ 改訂版
主演:アリーナ・ソーモア & ウラジーミル・シクリャロフ
  リラの精:クリスティーナ・シャプラン
  ダイアモンドの精:ソフィア・イワノワ・スコブリコワ
  カラボス:イーゴリ・コルプ
  フロリナ王女:オクサーナ・スコーリク/青い鳥:アレクセイ・ティモフェーエフ
指揮:ワレリー・ゲルギエフ

 最新版のマリインスキー、セルゲイエフ版の『眠り』をご覧になりたい方は こちら をどうぞ。テクニックは素晴らしいですし、

英国ロイヤル・バレエ
『眠れる森の美女』1994年



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リージョンフリー

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<はじける瑞々しいデュランテのオーロラ>

上演:1994年 132分  振付改訂:アンソニー・ダウエル版
主演:ヴィヴィアナ・デュランテ & ゾルタン・ソイモジー
   カラボス:アンソニー・ダウエル、リラの精:ベナジール・フセイン
   フロリナ王女:リャーン・ベンジャミン、青い鳥:E・ピックフォード

 こちらも私の大好きなオーロラです!伝統の英国ロイヤルの『眠り』。古い映像ですがぜひご覧になって頂きたいと思います。

 瑞々しい若いオーロラを同じく若さはじけるデュランテが踊っています。もう本当に可愛らしい!そして素晴らしいテクニック。この年齢でこの表現と技術を兼ね備えるデュランテの才能の素晴らしさを実感します。王子に恋をするさまもちゃんと感じられ、このように表情を見ることが出来るのはビデオの利点ですね。
長身のソイモジーも堂々とした王子っぷり。テクニックも安定感があり文句なしのフロムリント王子です。

 そしてなんといってもダウエルのカラボス!!みごとな存在感!演技!つい目が行ってしまう。この版ではカラボスの手下もよく動くので見ていて面白いです。どの作品もカラボスの演技は見ものですが、このカラボスは出色!あの優雅なノーブルのダウエルが演じているなんて思えないほどです。ぜひ注目して下さい。

 リラの精のフセインは2006年版のヌニェスと比べたらテクニックでは残念ながら劣ってしまうのですが(ロイヤル版のリラの振付けは最後が超難しい!)、私はこのフセインのリラの精が一番大好きなのです。たおやかで慈愛と気品と強さがあり、まさにリラの精。マイムも丁寧で表現力がありよく伝わります。
フロリナ王女にはリャーン・ベンジャミンがフロリナにしては力強く踊っています。少し曲が早い気がしましたが。

 また、この作品の美術と衣装はとても前衛的で現在でもとても斬新!前衛的であっても体の線を隠さず踊りの邪魔もせず、(好みによりますが)とても良い衣装です。舞台美術は全体的に少し暗くて(VHSだけ?)、“おとぎの国”というよりSFの世界なのですが、細部までよく凝っています。オーロラが眠りにつくシーンではいばらに覆われて行き、パノラマもおざなりにせずにゴンドラが閉ざされた凍結した世界へ移って行くのが面白い。そして100年後のオーロラは蜘蛛の巣に覆われた世界から、王子のキスで一気に明るい世界へ生還します。スペクタクルですね〜。

この作品はVHSで発売された後、中々DVD化されず待望されていました。現在はDVDでお楽しみになれます。
見どころ満載のこの作品、ぜひお勧め致します(^^)b。
オランダ国立バレエ
『眠れる森の美女』2003年



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<素晴らしく見応えあるピーター・ライト版の『眠り』>

上演:2003年 139分  振付改訂:ピーター・ライト版
主演:ソフィアン・シルヴ & ゲール・ランビオット
   リラの精:サラ・フォンテーヌ
   カラボス:エンリケッタ・キャバロッティ
   フロリナ王女と青い鳥:サビーヌ・シャランド & セフトン・クラーク

 ピーター・ライト版という事に興味を覚えて購入しました。いや〜面白かったです!
一番の特徴は物語がとても自然な流れになっていること。余分な部分は省き足りない部分は付け加えるという感じです。ライト版の大きな違いは、オーロラが目覚めた後に王子とのパ・ド・ドゥが新たに挿入されており(曲は第2幕の間奏曲、振付けはアシュトン)、2人が恋に落ちてゆくさまがきちんと描かれているのですね。これはとても説得力がある!そして大変美しいパ・ド・ドゥです。どうして今のロイヤル版にないのかしら?
パノラマもただゴンドラに乗って行くのではなくリラと森の精たちに導かれて王子はオーロラの森へやって来ます。

 この版もリラもカラボスも踊りません。妖精は6人になっています。リラとカラボスは美しいドレスを着た対比した存在で、2人もとても美しい!リラも威厳があって素晴らしいのですが(…でも腕が疲れそう)、特筆するのはカラボスです!すっごくカッコイイ。(アンジーのマレフィセントみたい) 悪役大好きな私にはものすごくやってみたい気分にさせてくれる役どころです。ぜひご覧になってみて下さい!

 全体的にとても実力のあるダンサー達で、踊り方がとても現代的。ミストレス(踊りの指導者)の好みなのか、とても柔らかい踊り方がベースとなっています。あのように緩急つけて余裕をもって踊るには大変技術がいるのですがカンパニーのダンサー全員にその傾向があります。もちろんソリストも実力者揃い。少し残念な部分もありましたが、殆どが素晴らしいパフォーマンスです。
 上半身の使い方がとても優美!このように大きく美しく上半身を使う事が、踊りを大変美しく見せるという事を証明しているような動き方です。
そしてコールドのポーズや隊形がとても綺麗!まさに写真で撮って飾りたいと思いました。

 主役の2人はとても息の合ったキレイな大人のカップル!オーロラのシルヴは初めて観ましたが(この後NYCBへ移籍)、優美で大人っぽいダンサーです。第1幕では可憐さを、第3幕では大人になった威厳を表わしているように見えて、とても好印象でした。(第1幕のバランスはあそこまで無理してキープしなくても良い気がしましたが…。)
王子のランビオットはとても柔らかく踊るノーブルなダンサーです。

 オランダ国立というとコールドがよく揃っている印象があるのですが、この作品ではそれほど揃っている感じは受けませんでした。まあ、バレエ・ブラン(白いバレエ)ではないのでそれでも良いのですが、期待した分少し残念。好みですが森の精の曲が少し早すぎる気がしました、ありゃ大変だ。しかし!第3幕の宝石は男女2組のペアで踊られるのですが、素晴らしく息がピッタリ!で揃っている。素敵な宝石を楽しめました。

 残念なのが衣装とカメラワーク。衣装はゴールドを基調とした大変豪華な衣装なのですが、ゴテゴテし過ぎていて体の線を隠してしまうのです。最近流行りの長めのスカートもせっかくの脚の動きを見え難くしています。クラシック・バレエって美しい脚の動きを楽しむものでもあるのに、短いチュチュで踊る為に振付けられた踊りを長めのスカートで踊るのは如何なものかと私は思っています。現在のバレエ・ダンサーの体って本当に美しいですから、あまり隠して欲しくない。
そしてここの特徴なのか、いつもカメラワークが悪い。今回も下からばかり取り過ぎてスカートの中が丸見え過ぎたり(短いチュチュなら気になり難いのですが)、コールドの美しい隊形の時にアップにしたり、踊りを観たいのに踊っていない人物をアップにしたり。バレエって本当にバレエに精通したカメラマンでないと残念な映像になってしまうのですよね。最近のカメラマンは個性主張し過ぎでバレエ鑑賞には邪魔!改善して欲しいな〜。

 この版はぜひ!ロイヤルでも観てみたいと思いますし、今のオランダ国立でもっとスッキリした衣装で観てみたいです。
『眠り』を観尽くした方!ぜひご覧になってみては如何でしょう?


※ この映像が含まれるDVD・BOXも発売されています。こちらの方がお得かも知れません。
ボリショイ・バレエ団
『眠れる森の美女』2011年



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<豪華で高度だけどあまり感動しない『眠り』>

上演:2011年 139分  振付改訂:ユーリー・グリゴローヴィッチ版
主演:スヴェトラーナ・ザハロワ & デーヴィッド・ホールバーグ
   リラの精:マリア・アラシュ 
   フロリナ王女と青い鳥:ニーナ・カプツォーワ&A・オフチャレンコ

 改装後のボリショイ劇場のこけら落とし公演の際の映像で、出産後初のザハロワとABTから移籍後のホールバーグが主役を踊っています。

 広大なボリショイ劇場で舞台も衣装も豪華!主役2人は盤石なベテラン・プリンシパルなんですが、感動しないんですね〜。グリゴローヴィッチ版は1989年版もあるのですが、古くてもそちらの方が私は好きです。
事情があるのかも知れませんがあまりに音楽をはしょり過ぎ!確かにバレエにとっての無駄な部分は少しはカットして良いですが、チャイコフスキーの芸術を味わっていると、とても気持ちの悪いカットのされ方です。そして指揮者もバレエをあまり理解していないようで、バレエの振り付けを全く無視しした奏で方です。特にプロローグ等は間延びしていたり盛り上がりに欠けたり。あれではダンサーの気持ちが乗っていけません。好みの範囲を超えている!…と思う。
美術も荘厳な柱がずーっと舞台上にあるので、森のシーンの美しさがイマイチ表現されていなくて残念でした。床の模様はいらないなぁ。

 ザハロワはさすがの貫禄と安定性、何よりとても優美です。産後初というせいか多少バランスが流れますが、乱す事なく踊りあげます。ただ16歳の姫というより大人の女王という貫禄で、私的にはちょっと残念。脚が上がり過ぎるのも少々気品を欠いている気がします。まあ「上げろ上げろ!」の時代なので仕方ないのですが。彼女の手首を観ているとグリゴローヴィッチ版だという事を強く思い出しますね〜。腕の短い日本人には絶対に真似できないラインです(^^;)
ホールバーグは良いノーブルっぷりを表現しています。技術も素晴らしい!ちょっとクールですね。ですが美男ですし、ザハロワとはバランスがとても良くあっています。更なる相性を育てて欲しいカップルですね。

 リラのアラシュは技術的には申し分ないのですが、演出のせいもありちょっと影が薄い。リラよりオーロラの方が貫禄があってしまい残念ですね。またフロリナ王女のカプツォーワが彼女らしい素敵なフロリナを踊っています。感情表現豊かな彼女のオーロラをとても観てみたいと思いました。このグリゴローヴィッチ版にはめずらしくシンデレラの踊りが入っています、でも振付はイマイチ。
コールドも揃っていて申し分ないレベルですよ。さすがのスタイルで美しい。でもなぜか感動しない。

最新のクリアな映像で、バレエ技術も素晴らしい。しかし正直、私としてはあまりお勧めしないビデオです。

ここからは番外編です。マニアの方向けですのでご注意下さい。
番外 キーロフ・バレエ
『眠れる森の美女』1982年



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<コルパコワのオーロラ>

上演:1982年 167分  振付改訂:コンスタンチン・セルゲイエフ版
主演:イリーナ・コルパコワ & セルゲイ・ベレジノイ
  リラの精:リュボフィ・クナコワ、フロリナ王女:エレナ・エフチェーエワ

 全幕としてのキーロフのおそらく一番古い『眠り』の映像となります。1964年版 がありますが全幕ではありませんので、セルゲイエフ版の出来るだけ古い振付を知りたい方には参考になる映像だと思われます。

 このビデオは何と言っても偉大なコルパコワのオーロラの記録映像であるという点。もちろんバレエ作品として見苦しいような物ではなく、この時代のバレエを彷彿させる、古いバレエ愛好家にはお楽しみ頂ける映像です。但し、昔のバレエの常でカーテンコールが異常に長いですので覚悟してあるいは早送りしてご覧下さい。

 コルパコワはこの時は既に40代後半!この年齢でオーロラ全幕を踊るのは本当に大変だったと思いますが、第3幕まできちんとこなしています。そして40代とは思えないほど大変可愛らしいオーロラを表現しています。「脚が上がっていない」「バランスを取らない」等の批評はありますが、この時代であの美しさはやはり素晴らしいと思います。王女の気品には少し欠ける気がしますが、可憐で優美、昔のバレエの“こってり表現”たっぷりでとても面白いし参考になります。
また脇を後にプリマとなる若いクナコワエフチェーエワが支えていますので、見応えもありますよ。

 コルパコワのオーロラをお楽しみになりたい方向けのビデオです。
番外 キーロフ・バレエ
『眠れる森の美女』1989年



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<アスィルムラトーワのオーロラ> (VHS)

上演:1989年 160分
振付改訂:コンスタンチン・セルゲイエフ版
主演: アルティナイ・アスィルムラートワ&コンスタンチン・ザクリンスキー
   リラの精:リュボフィ・クナコワ、フロリナ王女:エレーナ・パンコワ

 こちらは古いVHSの映像です。今では手に入り難いと思われますが、時々中古で手に入るかも知れません。

残念ながら大変暗くて見づらい映像です。ダンサーはスポットが当たっているので踊りは見られますが、コールドはイマイチはっきり見えず、セットもほとんど判りません。

このビデオの目玉は何と言ってもアスィルムラートワ&ザクリンスキー夫妻のパ・ド・ドゥでしょう、とても息が合っています。私はアスィルムラートワは好きですが絶対にオーロラ向きではないと思っていますので、オーロラとは思わずに“アスィルムラートワ踊り”を楽しみました。しかしもう少し年齢が後の方がアスィルムラートワは良い気がしますね。

私のお目当てはパンコワのフロリナ王女でしたので、少々不安定ではありましたが可愛いパンコワのフロリナを観て満足。こんな可愛いフロリナが居ても良いですよね〜。こちらもリラは盤石のクナコワです。

 正直に言ってアスィルムラートワのファンの方以外には、あまり無理をしてまで手に入れる映像ではないと思います。
番外 カナダ・ナショナル・バレエ
『眠れる森の美女』



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<ヌレエフ版の原型の『眠り』>

上演:1972年 88分  振付改訂:ルドルフ・ヌレエフ版
主演:ヴェロニカ・テナント & ルドルフ・ヌレエフ
   フロリナ王女:カレン・ケイン、青い鳥:フランク・オーガスティン

 ヌレエフがカナダ・ナショナル・バレエの為に振付けたヌレエフ版『眠り』の原型となる作品です。古い映像なので画質はあまり良くないのですが踊りはきちんと観る事が出来ます。しかしこの映像はテレビ放送用に88分という短さにカットされた映像なので、省略された部分が大変に多いです。ヌレエフの踊りはしっかり観れますのでヌレエフ・ファンには良いですが、『眠り』全体を楽しむにはあまりにお粗末なボリュームです。妖精の踊り、オーロラの(第1幕)薔薇のバリエーション、宝石の踊り、赤ずきん等はすべて収録されていません。

 ヌレエフ版の原型としてパリ・オペラ座の『眠り』と比較して観るのも面白いかも知れません。ヌレエフ版の常として男性の踊りのパートが多く、第2幕では王子が踊りまくります。あの長〜い王子のソロもこの原型で既に入っていたのですね。やはりロシア版第3幕のリラの精の踊りの曲が第2幕で王子のヴァリエーションになっています。
またロシア版では省略されている第3幕最後のマズルカの前に挿入されているサラバンドの曲を第3幕の初めに貴族の踊りとして挿入しています。これはオペラ座版でも同じ。(ちなみにこの映像の王様の衣装ってすごくって、まるで太陽王ルイ14世!重そうな頭飾りです(^^;)原曲の最後では太陽王が出てくるのでそれにちなんだのかも。)

オーロラのテナントはそれなりに技術のしっかりしたバレリーナで安心して見られますが、オーロラ的であるかというと私の好みには合いません。
ヌレエフ・ファンの方には円熟期のヌレエフの踊りがたっぷり観れて至福な映像ですよ。

 





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